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千田 先ほどはたくさん聞いていただきまして、ありがとうございました。ちょっと時間内に急いだために、道上先生からそういうご質問がありましたが、先生はよくわかっているけれども、皆さんと一緒に考えようということでご質問なさったと思っています。

今、国道は全国に507あります。そのうち58というのは旧1級道路です。とりあえずそれを国で直轄というか、国のものにして、あとは全部県にするということは、今まで国でやっていた人及び予算、経費を全部県によこすというのが前提です。

秋田県の例で言いますと、1級河川が3つありますが、先ほどの話ですと全部県になります。局速道路はありますが、国道は7号、13号、46号が国です。高速道路と国道3つしか仕事がない。したがって、河川もその他の道路も全部県になるとすれば、国の工事事務所が3つありますが1つでいい。職員は全部県職員にならなければいけないわけです。どうするのだど冗談で聞いてみたら、所長さんは大反対ですが、課長さん以下の人は、県の職員になれば転勤しなくてもいい、案外土木部長になれるかもしれない、むしろ県に行ったほうがいい、仕事を続けるのならどこの職員でもいいじゃないかという気持ちがあるようです。ここのところは、さしあたって国家公務員を県職員、地方公務員にすることはすぐにはできないと思いますので、最初は出向という格好でやっていくことになるかと思います。

1つの河川で維持費や工事費が約100億円ありますから、60といえば6,000億円です。6,000億円で少し凸凹がありますから1兆円と見ても、全国の109の河川の予算約2兆円の半分が建設省の河川局からなくなるわけですし、人もみんなとられていくわけですから大変なことです。目の色を変えて反対するだろうと思いますが、一応法律に基づいた分権委員会が省庁とこういう格好のやりとりをしています。それが半分でも3分の2でも実現すれば、世の中が変わってしまうくらいになります。

ところが、中核都市というのがあります。例えば熊本市が中核都市になると、今まで県が持っていた保健所を熊本市に移すわけです。予算や人も当然移します。人はともかく、カネはよこしてもらわなければいけないわけですが、熊本県は何だかんだとケチつけて8〜9割しかよこさない。なぜ全部よこさないのかと言うと、市は中核になりたくて要望してやったのだから、それくらい我慢しろなどとケチめくのです。河川と道路が動いたら、恐らくケチめいて全部はよこさないかもしれませんが、一定の部分は当然のごとくよこすことになります。

地方交付税でよこすか何でよこすか、まだまだ検討がされていませんが、交付税も所得税、法人税、酒税については32%を充てています。何年間かするとその率を変えることになっていますが、35%にするか、40%にするか、当然そこまで問題が発展してきます。そうなれば、交付税ばかり大きくなってはいけないので、国・地方合わせて今一番最高は67%となっていますが、むしろ地方の税率を高くして国の税率を低くしなければいけません。スウェーデンでは国税を納めている人が国民の20%しかいないということです。今はそうではないですが、日本もだんだん地方の取り分が多くなるようにさせなければいけないと思います。

私たちがそんなことを言うと、大蔵省は、「冗談じゃない。日本の国が400何十兆円の国債を発行しているのは、1年間に50兆円の税金が取れるという担保があるからであって、20〜30兆円しか税金が取れなくなったらどこも貸してくれません」などという理屈をつけて抵抗していますが、話はそこまで進んでいるわけです。今の第1ラウンドでは、市町村には犬の鑑札とか猫の死体を埋めるとか、そんな仕事しか行っていないので、カネはそんなに要らないわけですが、今度本当に仕事が行くとすれば、当然カネをつけなければおかしなことになります。ただ、ケチめくことはあるかもしれませんが、そのときはそのときでまた我々は戦いというか、要請・交渉をしていかなければいけないわけです。

 

 

 

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