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彼らはもう既に住民参加型の川づくりをやろうと言っているわけです。そうしたときに、地方あるいは県レベルでそういう考え方が出てきましたが、法律的なもの、あるいは条例的なもので規制していかなければ遅れてしまうのではないか。アイデアは早く出ているのですが、そのフォローアップが若干遅れているのではないかと私は思います。

例えば川づくりのときに「住民参加型」とか、あるいは先ほどお話のありました全総計画、21世紀の国土のグランドデザインの中にも「地方分権」とか「参加と連携」というキーワードが新しく入っています。しかしながら、それを中央官庁のほうがより早く入れているわけです。それに対抗して地方ができるかどうか、その辺が1つのこれからの競争になるのではないでしょうか。この辺についても、中央官庁のほうでは、そういうキーワードを入れながら法律をつくったり、あるいは施策を行っていっている。その中で、果たして先ほど千田先生が言われたように、地方に仕事が持ってこれるかどうか。この辺の大まかな見通しで結構ですので、時間がありましたらお話願いたいと思います。

それから、環境問題について何かお話をしろということですが、実は具体例で申し上げますと、平成7〜8年ごろにリサイクルプラザをつくりました。この委員は約50名いて、そのうち20数名は女性でした。50人中約半数が女性という委員会は初めてです。最初のうちは女性もなかなか発言しにくかったのですが、そのうち彼女たちもだんだん元気を取り戻してきました。何が問題かといえば、要するにゴミの問題をどうするかということです。ゴミに関心があったり、ゴミそのものを取り扱っている人の90何%は主婦です。私はたまたまそのとき座長をしていて、彼女たちにしっかり発言していただかなければいけないと思い、どんどん発言していただくようにしたら、随分いろいろな意見が出ました。その意見を取り入れて昨年の4月からリファーレンいなばがスタートし、皆様ご承知のように、1市14町村から成る東部圏域でゴミの分別収集を行っています。これは非常に成功の部類だと思います。

しかしながら、問題もあります。それは十分な分別がまだできていなくて、小型破砕ゴミの中に資源ゴミがあったり、細かいところでうまくいっていないようなことも聞きますが、大まかにはうまくいっています。そして、そこを訪れる各自治体の方の数も非常に多いようにお聞きしています。そういう意味で、ゴミの問題というのは我々住民の非常に切実な問題です。それをみんなで議論しながら、リファーレンいなばを立ち上げていったということで、これは成功した部類ではないかと考えています。

ただし、まだ十分ではないわけです。何が十分でないかといえば、例えばゴミの中の約8割近くは燃えるゴミです。あとの2割の燃えないゴミをリファーレンいなばに持っていっているわけですが、燃えるゴミの処理がこれからの課題です。したがって、これからはどうしてももう少し住民の知恵が必要です。そういったときに、まちづくり、あるいはゴミの問題を解決する非常に大きな力になるのは女性ではないかと考えています。したがって、サークルに女性をたくさん入れて、一緒になって町の中からゴミをどう減らしていくかを考えていく必要があります。

河本 ありがとうございました。

続きまして、いろいろな住民ニーズに応えていくためには、今後の市町村の職員の姿勢といったようなことも、分権が進むと今と様相が変わってこようかと思います。そのあたりを民間出身の寺谷町長さんにお願いします。

寺谷 智頭町長の寺谷です。私は行政を知らない全くの民間人でした。そして、町長になってちょうど1年がたちました。そういう中で、私がまず非常に強烈に「へえ」と思ったのは、先ほど高橋先生からも中央集権というお言葉がありましたが、国に陳情に連れていかれました。昔の参勤交代がまだ残っているのかと思うくらい、各地域から来られた町長さん、市長さん、議員さん方が、参議院会館あるいは衆議院会館の廊下を本当に駆け足で臨まれています。私は正直言って非常にむだだと思いました。

 

 

 

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