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ただ、これは産業・経済だけの問題ではありません。人間の価値観や文化や生活スタイル等の問題でもあろうかと思います。こうして見たときに、我が国の国際化というか、地域活性化のかぎは、まさに中央集権の打破と地方分権の実現にかかっていると言っても過言ではないと私は考えているわけです。

具体的に申し上げて、道路、緑地、公園等を含むいろいろな公共施設の建設といった地域の生活環境が非常に大きく変わるわけです。米子の場合でもそういうことがあります。親水地域をつくろうと思っても住民の反対でなかなかできない。そのために老人あたりが困ってしまっているというようなこともあります。効率的に住みやすい環境をつくるために地域計画とか都市計画を策定していくのは結構ですし、財源、権限もできるだろうと思いますが、問題は、必要な公共用地を取得することができにくい、ここに非常に問題があります。したがって、この取得を何とか保障できるような体制ができないものかということを考えていることと、土地の用途規制とか容積率規制といったもののルールを民間にすべて任せたらどうか。もうそういったことは民間に任せるべきだと考えています。

あとについては次の機会に申し上げたいと思います。

河本 ありがとうございました。続きまして、道上先生に、環境といった点から県・市町村、そして住民が互いに連携し、協力しながら進めるまちづくりというようなことでお願いできればと思います。

道上 私は鳥取大学にいて、専攻しているのは土木工学です。その中の河川工学を研究しているわけですが、ただ、先ほど千田さんのお話にありましたように、最近は土木事業が非常にやり玉に上がっています。土木工学が上がっているわけではありませんが、その中の公共事業の道路とか橋、あるいはダムをつくる、そういったことが多過ぎるのでなはいかという議論が都会のほうのいろいろな識者から出てきて、いろいろ議論されています。

直轄の国道は500くらいありますか。かなりの数がありますが、先ほど千田さんのお話にもありましたように、8月11日の分権推進委員会では、そのうち58くらいを建設省の管轄にして、あとは県等に渡したらどうかというふうな議論があります。これは、それなりに説得力のある1つの考え方だと思われますが、千田さんにそのことについての質問をいたします。そうなったとすれば、例えば残りの道路は県が管理するようになるのか。そのときの人や予算の問題、例えば建設省から移管されて建設省のお役人さんも県に来て働くような形になるのか、その辺がまだわかりにくいので、できればお話し願いたいと思います。

道路だけでなく、河川もそうです。先ほどのお話によりますと、建設省が直轄で109水系の河川を持っており、そのうちの61水系は県に渡そうではないかという議論が進められています。8月11日の新聞によれば、非常にセンセーショナルな問題として今議論されつつありますし、お話によれば、今月の下旬ごろから本格的な議論になってくるようですが、私ども、その行方に大変関心を持っています。そこで、もし県に移管されたとしたら、技術者や予算等も県に持ってこれるように分権推進委員会では頑張ってもらえるのかどうか。恐らくそういうことになるかもわかりませんが、その辺、千田先生のご見解もお聞きしたいと考えています。

ただ、去年(平成9年)河川法の改正で、例えば住民参加型を河川法の中にうたっています。従来は治水と利水を中心にしながら川を整備してきたわけですが、それに環境を入れ、しかも、工事の進め方は住民参加型でいこうではないか、必ず住民の意見を聞きなさいということがうたわれています。しかし、そういう考え方、アイデアは、どちらかといえば鳥取県から出ているのです。県の職員の美甘さんなどが今非常に著名で脚光を浴びていますが、例えば鳥取県の中で河川改修をする場合に、サロン方式という形で住民の皆様方と河川技術者が一緒になって議論しています。それが建設省に行き、もう既に法律化されているわけです。

私は何を言いたいかといえば、中央官庁は、いいアイデアは素早く取ってきて、それを法律に盛り込んでいます。

 

 

 

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