ほとんどの人は反対でした。そんなことは、できるわけがない。建設省や運輸省や農水省が絶対素直によこすわけがない。我々は無残なる戦死になるからやめたほうがいいと言われましたが、私は、今言ったとおり、やらなければいけないものがたまたま来たのだからやりましょうということで頑張って、私が言ったからではないですが、やることになりました。我々は今年1月から、田中直毅さんやいろいろな人をお呼びしてヒアリングしたり、何十人の人から勉強しました。そして、地方自治体の人に来ていただいて案をつくり、参議院選挙が終わってから、今日は運輸省、その次は農水省というふうに1週間に2回ずつヒアリングしました。私もわざわざ秋田から行ってホテルに泊まってやりましたが、みんなゼロ回答でした。そこで、我々は怒って、我々の案を5月11日の新聞で全国の皆様に発表しました。これはまだ本当の決定ではなくて、第2次案、要するに論点です。
まず第1は、直轄事業ですが、国の持っている仕事を縮めて地方に移そうということです。道路については、国は管理も事業も含めて高速道路、高規格道路、そして国道はとりあえず1号線から58号線(旧1級国道)までしかやらない。あと残りは全部県に移す。河川については、1級河川が109ありますが、1っの県の山で生まれて1つの県の海岸に行く、1っの県で首尾完結する河川は61本あります。これは人もカネもつけて県に任せる。同様に、農業その他全部そういうことでやることにしました。
次に、補助事業です。国が行っている補助事業は山のようにあります。それを制限します。1つは、直轄事業に関連のある事業、2つは、大プロジェクト、例えばオリンピックとか万博等に関係ある事業、3つは、災害も含めた短期集中型の事業、4つは、実験的な事業、この4つだけは従来どおり補助事業でいいが、あとの残りは全部統合補助金にする。例えば道路補助金、河川補助金というしかるべき名前をつけて各県に渡し、各県が自分の思うところに自分で使うようにするということです。これは私が言っているのではなくて、中央省庁等改革基本法の46条の2にちゃんと書いてあります。
総合計画もひどいのです。今、全総というのは評判が悪いので、グランドデザインということに変えましたが、これも国のやるところだけでいい。地方計画、実施計画はカットする。拠点都市法、新産都市法、振興法等は一切削除する。そういう案を私たちは出して、国の仕事を地方・県に徹底的に移すということで、8月末か9月初めまで建設省や運輸省や農水省と戦いをやるところですが、向こうが果たしてどれくらい応ずるかは非常に疑問です。58号はできなくても、せめて80号くらいは妥協・譲歩してもいいじゃないか。ただ、ゼロということはできないということで頑張るつもりですが、そのように第2段階、第2ラウンドに来た、時代が動いているということを、私は今日、皆さんにぜひ知ってもらいたいと思います。
我々は、いつまでたっても従来と同じだと思っていましたが、地方自治体がそんなに頑張らなくても世の中は動いてきています。今は不景気だということで公共事業を山のように出してやるのと、私たちが公共事業を整理するのと大きな違いがありますが、私たちのほうが本質で、今のは臨時緊急避難措置ですから、それとは矛盾するものではありません。自民党の人がよく言うように、我々は静々粛々と進めていきます。地方をめぐる情勢は本当に激しく変わってきています。第2ラウンドになると、どれくらいできるかわかりませんが、大変な動きに来ているということをぜひ皆さんに理解していただいて、みんなで真剣に討議し、考えてもらいたいわけです。
そこで、これから私の話の本番ですが、しからば我々は覚悟を決めて一体全体何をしたらいいのだろうか。法律改正は来年ですから、それまではまずのんびりしようと言う人もいるかもしれませんが、今しなければいけないことは、その体制に備えて、我々の意識改革が大至急必要だということです。
私の近くのある助役などは、今でも「市長さん、市長さん」と言ってくれますが、「市長さん、分権なんかだめだ。今までのほうがいいよ。