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そうい中で、私などができることがわずかなんですが、日頃心がけていることがあります。緑豊かな宮崎で暮らしている方には当然だと思うんですが、私は東京の真ん中で暮していますと、やっぱりどんな小さな緑でも玄関回りに必要だと感じます。コンクリートで固められて、それも角のほうが汚れていたりして、そんな閑散とした玄関から毎日お父さんが仕事に行き、子どもが学校に行き、お母さんも仕事に行きして、また疲れて帰ってくる。こういう状況が東京などでは往々にしてあるんです。

ですから私はささやかですが、まず自分の身近からというので玄関回りに緑を植えようと思っているのです。苗木も東京は高いです。宮崎に伺ったのをいい機会に、実は安いと聞いたので苗木を買っていきたいと思っています。それで、苗もひとつ350円ぐらいするのをじっと待って、200円になったときに5つ買うとか、そういうふうにして少しずつ植えています。インパチェンスとか、花がいつまでも咲き続けてくれるものとか、キクとか色々混ぜて。こちらでは当然のように咲くハイビスカスなんて、一鉢3,500円という値段が付いていて考えこんでしまったことがあります。聞いたら宮崎ではケタが違うそうですね。でもそういうものでも、もしこの赤い花が玄関に咲いていたら、ここを通る子どもたちがどんなに気持ちいいかなあとさんざん考えているうちに値段が下がって、1,800円になったときに買います!と買ってきたのを一生懸命育てて、太陽に当てたりして世話をしています。

そんなささやかなところですがお米のとぎ汁を溜めて、植物にはそれをかけるようにしています。あれは確かツツジ類だけはだめだと聞いたのですが、それ以外は白いカラーの小さいようなのが咲くスパシフィラムとか、観葉植物にもやっています。

ちょっと面倒なんですが、米をといだらそれをボールとかバケツにあけて、それを柄杓で「はい栄養よ」なんて言いながらやるんです。本当にちゃんと聞こえているんですね。小さな植物もそうすると元気を出してくれて、嬉しいぐらい。1週間位忙しくてやってなくても、ごめんねごめんねと言いながらやっていくと、またぱっと咲いてくれるんですよ。おかげで私の心もストレスが解消されて柔らかくなりますし、子どもたちも「行ってまいります」とか「ただいま」って言って出かけていきます。きっと心に何かを与えていると私は信じて、玄関回りをきれいに掃除して、子どもたちにも日曜日は磨かせたりして、手伝わせています。

 

こんなことは当然なんですが、私は子どもたちにごはんを残さないということをさせているんです。子どもたちは、ごはんを自分たちでよそって、もっと食べたかったらおかわりをする。そして「いただきます」をしっかり言って、おへそがこっちむいていたり、肘をついていたら怒って、とにかく食べ物をいただくというのはありがたいことなのだ、ということを分からせてきました。

食べ物は自然の恵みですから、土と太陽と水がないとできません。そこにはもちろん人の汗が入っていますから、「ありがたいわね、これを採ってくれた人がいるのよ」ってなんて話をしながら、ありがたく食べようと思っています。それで、食べたら「ごちそうさま」。その後、ちゃんと自分で持って行って洗う。これを幼稚園の頃からやらせてましたので、小さい子は台を持ってきて洗うんですね。

 

 

 

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