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私は戦後の消費スタイルの変化を調べてきました。これをみるとすぐに取り組むのが難しいということがよくわかります。日本は戦争で昭和20年に敗戦し、本当に焼け野原になって、ゼロから、マイナスからの出発をしました。

その日本が昭和31年、わずか戦後11年というところで経済白書が「もはや戦後ではない」と発表したんです。こんな国は珍しいんです。戦争の後の各国々が、いろんな意味でつつましく、貧しくいくものをたった10年のうちに「もはや戦後ではない」と経済で言えるというのは、世界で例がなかったことです。それにはいろんな意味で、例えば朝鮮動乱であるとか、朝鮮半島が戦争になって、その特需で日本が石油が解禁になり石炭も大丈夫というふうに、急に日本の現在を作った基幹産業が開放されて、どんどん需要が増えて急激に発展を遂げたという地理的・時代的な背景がありました。

そして昭和36年の1961年には「消費は美徳、使い捨て時代」になります。私だとそういう時代があったなあ、と思い出すんですが、今の若い人はそんなのは当然なのです。戦後15年で「消費は美徳、使い捨て時代」と、これを国がうたった訳です。さあみなさん捨ててください。持ってちゃだめ。古いものなんか捨てて捨てて、買って買って。そして私たちはそれにのっかったわけです。昭和43年、1968年には、住宅総数だけでも総世帯数を上回っています。それでも私たちは、足りない足りない、もっとお金もっとお金、マルビはイヤ、マル金になりたいと、こういうふうに火が付いてしまったんです。

 

 

 

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