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今日は「森からの贈り物」というテーマでお話をさせていただくのですが、私は環境の専門家ではございません。私は今、青森大学で環境保護論を教示させていただいています。学生と一緒に、発電のためのエネルギーを風力などを使って、どう自然のエネルギーを利用するか、その可能性はあるんだろうかというようなことを調べたりしています。

風力発電の調査見学に竜飛岬の方に学生と一緒に出かけた折り、三内丸山の縄文の遺跡を見て、そこで昔の人たちがどのような生活をしていたのか話を伺ったんです。私は当時の人たちは自然そのもので生活していたのではないかと思っていました。でも遺跡から出た栗の実のDNAが同じものが揃っているというので、これはただ生えていたものを食べていたのではなく、きちんと植林して社会生活を営んでいたのではないかというのが分かってきたり。そんなふうに私は、学生と一緒に勉強しているという状況です。

また、私は母親でもあり、4人の子どもがおりますので、子どもたちの将来のことも考えます。私は戦後の生まれで、繁栄していく日本でいろんなものが身の回りに整って、欲しいだけ手に入る豊かな中に育ってきました。しかしいざ自分の子どもたちにバトンタッチしょうとした時、子どもの側から見て何が残っているんだろうか、これはとても不安です。生活する環境がこんなに汚れてしまって、こんなに傷んでしまって、これから先の世代は一体生きていく意味があるんだろうか、というような問いかけが今きているのです。そういう中で、母親としても自分ができる限りのことをして、次の世代にバトンタッチしていくことが大事。そう日頃心がけていることもあります。

そういうわけで今回は、社会の中でいろんな仕事をしていて、私が環境をどう捉えているのか、家にいて子どもを育てながら次の世代につなぐ環境についてどう自分が動かしていけるのか、そのあたりのことをお話させていただこうと思います。

 

 

 

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