「舞台の安全対策」
日本照明家照明協会 副会長 丸岡寿昭
【講義の概要】
私たち照明をやるものが会館の方たちにいろいろお願いしなければならないことが今かなり出てきています。昔に比べると確かに事故が増えています。仕事の量が増えていることもあります。そそっかしい面もあるかもしれません。ただ、今私たちが見ていますと照明セットなんかも大型になってきており、複雑になってきています。私たちも安全面ということをしきりに考えるようになりました。
(劇場建設時に安全配慮がされているか)
そういう中で劇場がかなり変わりました。外観も変わってきています。いま新しい劇場がオープンするときに、安全面に配慮しているのかなあと考えます。設計時に考えてはいるのでしょうが、現実に使っていくと非常に不便なこととか危険性のあることが出てきます。それを私たちは工夫しながら作業をしていく、仕方なしに、という状態だと思います。
(引継はされているか)
それとオープン後、いろんな設備に対して受け継ぎができているんだろうかと思います。納品時に「仕様書」があるはずなんですが「いやあ、そんなのどこにあるんだろうな」とかそういうことになってしまっているんですね。
(管理スタッフに十分な時間はあるか)
オープンするのに「あと1週間後だよ」というようなことは非常に多くあります。そんな短い期間の中で果たして安全に関することができるのかな、劇場全体が覚えられるのかな。もうちょっと時間があればなあという状況が非常に多いかと思います。
(素人さんスタッフへの配慮)
素人さんスタッフというのはお母さんもありゃお父さん、高校生もあるという形なんですね。こういう人たちにはちょっとやらせられない。例えば網元なんかの操作ですね。自分たちでやらなきゃいけない。プロのスタッフが入ってくれば任せられますけどね。そういう配慮は管理者に与えられた使命じゃないかと思うんです。そこで何かがあったときはそこでの責任というものが管理者にかかってくると思います。
(管理者としての責任)
それとは別に、プロの外来スタッフが入るときに、これは危険だからというのをなかなか言えないんですね。勝手にやっちゃうということがあると思うんですが本当はそれはよくない。これはちゃんと指導していかなければならないと思っています。
(機械等貸与者の講ずべき措置)
法律では機械の貸与者、貸す業者自体も使う人に対しての配慮をしなさいとなっています。そのため貸したときに講習をやったりして、高所作業者の場合なんかですと、ちょっと認定をしたような格好のことをやって教える。これが貸す側の配慮なんですね。ホールを例に取ると貸したものをどう使うんだというようなことの配慮をしなきゃいけないという法律があるんですよね。これが安衛法第33条というところに書いてあります。
(親綱の設置)
ここにあるタワーこれはテレスコープという製品なんですが、昇るときはこのアウトリガーを付けて昇ってくださいとなっています。で動かすときは持ち上げてくださいとなっている。使う方はどうかというと、持ち上げたままにしていて動かす。乗って動かしたらいけないとなっているのに、ホール側でもそれを言っているのに勝手にやっちゃうんですね。そうことでやりますと事故が起きます。じゃ何かいい方法はないかなとメーカーに相談してコロを付けたものを作りました。で、メーカーさんに「これでどうか」と聞いたところ、それでも「動かせない」ということなんです。