何故かというと、ヨーロッパのそういう劇場システムに変えたら200人、300人要るところから見れば、本当に4分の1か、そんな程度の人数しかいないわけですから、決して肥大しているわけではないと。とにかく劇場というのは人が支えて、人が要るわけですから、人がいない限りは劇場というのは運営できないわけですから、人を削って劇場を運営するなんていうのは、これはちょっと考え方が違うんではないかなと思っているんです。
(ホールの名称)
以前は市民会館、市民ホール、文化会館という名前が主流を占めていた時代があって、その後、公共施設、公共劇場で劇場という名前を使ったり、芸術という名前を使ったりする劇場が出てきた。そこで問題なのが、そういう名前を使っていて何がどうなったかと言ったら、組織は全然変わっていないんですね。劇場として組織が成立しない限りは劇場じゃないと思います。人間の手当ての仕方というのは全然なっていないんじゃないかなというふうに思うんですね。組織と人数が保証されて劇場だと、初めて劇場として運営ができるんだと、そんなふうに思うんです。だから、我々劇場側にいる人間としてはそのことについてもしっかり考えるべきだと、名称が変わっても何も変わっていないではないかと思うので、ぜひそのことについても何らかの形でテーマとして持っていただければというふうに思うんです。
(公共劇場と民間劇場)
公共劇場というふうに言ったときに、民間の劇場とやることは変わらないわけですね。予算の形態が違うだけで何も変わっていないわけですよ。例えば学校でいえば私立学校と公立学校と何が違うかと、何も変わっていないわけです。病院もそうですね。国立病院と私立病院といえど何も変わらないと、やっていることについては変わらない。だけど日本の劇場という中では公共と民間がやっていることは随分何か差があるような気がするわけですね。組織的にも経営的にも。そこで働くスタッフの意識もそうなんですけど、何かすごくいま差があるんじゃないかなというふうに思うところがあります。
(サービスと安全は金で買うもの)
安全はお金がかかるんだけど、目には見えてこない。そのことを我々は理解すべきだと思っています。結局安全は人である、人の手当をしないと安全は保たれない、サービスができない。事故が起きてから払うよりも安上がりなんですけどね。
(劇場と下水道はどちらが先か)
それから、劇場というこれは昔からよく言われていることで、下水道がないのに何で劇場を建てるんだと、そんな話も昔はよくされていたわけですね。でも両方とも必要なんだから両方ともできるような体制をとるべきだというふうに思うんです。
(裏方と表方)
スタッフの仕事というのは裏方というふうに呼ばれているんです。でも、裏方というのは表方であるというふうに僕はよく言うんですけれども、それは何故かというと、裏方は朝から夜まで主催者側なりお客様と接しているわけですね。この劇場でその人がしゃべったり働くことで、お客様がこの劇場をまた使ってみたくなるとか、またいい劇場だから来てみたくなるとかということでいえば、実は裏方というのは表方なんであると。朝から一番長い時間お客様とお付き合いしているわけですね。そういうことでいえば、我々が働くことでいい劇場の評価を得られるわけです。
(行政はサポーターに)
行政は何をするんだという話になれば、行政というのはやっぱりサポーター役に徹すべきだと、けっして表に出てきて云々ということじゃなくて、それはそれぞれのセクションにやっぱり100%の責任を置いて経営すべきだし、行政マンというのはやっぱりそういう意味ではサポーター役に回って、劇場文化を支える側の人間としてサポーター役でいるべきだというふうに思っています。
(ビデオとスライドによる劇場紹介・・・略)