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(技術課ワークショップ)

技術課の中でもワークショップをやっています。劇場を経験しようということで、「時代の舞台芸術を支えるあなたへ」ということで21日間やりました。対象は大学で在学中の学生、あるいは4年生でこれから卒業してプロになることを目指している人、それからいま若手のプロとして活躍している人たちで、劇場の稽古場から参加して、稽古を見て、演出風景に一緒に参加して、それから仕込み、本番をやって、あとはバラシというか、後片付けをやってというものです。

さらに公開講座をやりまして、これには演出家、評論家、建築家にもお話をしてもらいました。芸術というのは、芸と術があって、術を保証するのは芸だし、芸を保証するのは術であると、だから芸術というのは技術がなければ芸術にならないし、芸というか表現力にはならないと、そんなふうに思っていまして、技術だけじゃなくていろんな角度から創造形態の人たちの話を聞くことも大切だと思います。

(プラン料)

ちょっと特殊なんですが、世田谷では、貸館、共催事業、主催事業も含めて、劇場の方に「プランをやってください」とか、「照明のプランをやってください」とか、「オペレーターをやってください」とかと言われたときには、そういう業務を有料で実はやっているんですね。

給料、賃金をもらっておいて、なおかつ利用者からそういうお金をもらうことは、それは可能なのかどうかという話になると思うんですけれども。これについては僕たちは技術特別講習費ということで、技術を特別に先生方に教えるんだという、プランとはこういうものですよとか、オペレーターってこういうもんですよということで一般のワークショプと同じですよと。というふうなことを説得しまして、依頼されれば照明や音響のプランから何から何までやっています。

そういうふうにスタッフが劇場の中で創造活動ということで管理だけをするという閉塞された状況ではなくて、我々が持っているスタッフの能力をもっと有効に使う、劇場をつくっていくという意識を持たすためにも有効だと思います。

(企 画)

もう一つ特徴的なことを言えば、企画提案についてスタッフも意見を言える。こういう劇団を紹介したいとか、こういう企画があるんだけれどもと、そういう話は絶えず誰でも持っていける、そんなシステムになっております。スタッフといえども日常の中で劇場の管理をしていて、ただ与えられた仕事をしているわけではなくして、ちゃんとその作品を見て、それを見た上でちゃんと批評性を持って話せる、だからこういうことをこれから展開すべきだ、やるべきだという話まで持って行かないと、自分たちの作業現場というのは広がっていかないというふうに思います。劇場を運営するには全員が責任を持って運営しているわけですから、企画についても全員でつくっていく劇場というのが大切なんだろうなというふうに思っております。

(アマチュア活動の支援からプロに対する助成へ)

これまで一番多かった考え方というのが文化行政の中心の第一というのが、アマチュア活動の支援というのが一番多かったと思うんですね。それから第二に市民の発表というか、鑑賞のできる場所をつくると、そんな目的があって劇場というのはつくることが多いんですけれども、そんなふうに市民なり県民が参加する劇場という考え方というのは機会均等的な考え方ですね。

でも市民が使う比率というのは、じゃあ何割なんだと。計算をすると市民が見に来る比率の方が高いわけですから。そうすると市民が見ることだって参加なんですよ、使うことだけが参加ではなくて市民が見ること、鑑賞する方に、じゃあ運営を合わせたらどんなふうになるかということを考えて世田谷ではやっています。

 

○組織構成と人数

劇場の組織の人数は職員と言われる行政から来る出向の方を含めて常勤、非常勤含めて、固有職員を含めて全部で46名で運営していますが、アルバイトを入れると100人くらいです。大変多くの人数で運営しているんですが、たかが劇場を貸し出すのにどうしてそんなふうな組織、人数が必要なんだと言われるかもしれませんけれども、決して人数が多いとはこれでも思っておりません。

 

 

 

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