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○新しいスタイルの事業展開

(共催事業)

共済事業というのが多いのですが、今、行政が言ってきているのは貸館事業で1年間何十万円、例えば7千万円入れてくれれば後はいい、どんなふうに使ってもいいよという話になりつつあるんです。

つまりは財団で経営努力すればするほど、それだけの結果が得られると。だから15%の収入というのも実は事業費の中で使っているわけですね。使うということはそれだけ主催事業なりが、それだけ潤沢に使える、それだけ本数もやれると、そんなふうにして15%の収入もこちらで使えるような仕組みになっております。

そんなふうにしても、やっぱり共催事業というのはなかなか難しいんです。例えば民間の下北沢にある劇場とか、例えば民間のデパートが経営している劇場とかのお得意様のカンパニーがこちらの劇場に来てしまうと、それはちょっと営業妨害じゃないかという話にもなってしまうんで、結構そういうところでは厳しい。

いいスタッフと、それから経済的にもそういうふうな対応をしてくれるところについてはやっぱり流れて来ざるを得ない。そのところをいかに整理して民間との競合というか、圧迫しないようにやるかというのがいま大変悩ましいところです。

(ワークショップ事業)

それから、ワークショップ事業を随分やっています。

アートインザシアターというふうなタイトルが付いているんですけれども、これは一般の区の方というか市民の方を対象にして芝居をつくるためのワークショップです。

それから地域のための町ですね、町単位で考えたワークショップがありまして、「町に聞く」という講座を開いたりしてます。

それから英国ロイヤル・ナショナルシアターにエデュケイション部というのがあるんですけれども、そちらの役者さんに来てもらってワークショップをやっています。内容は教育現場に携わっている学校の先生たちが子供たちに対してどういうワークショップを行い、その子供たちとどんなふうな会話ができるかということをやっております。

それから一般を対象にした即興的なワークショップを展開したり、ワークショップのリーダー役を養成するためのワークショップ、それからプロの俳優を対象にしたワークショップをやっております。

それと今回はブレヒトの生誕百年ということでプロの役者と俳優と一緒にブレヒトの演劇論と方法論をテキストにしてどうやるかと、そんなワークショップをやったり、劇場探検ツアーというふうに呼んでいるんですけれども、劇場のバックヤードを1時間半ぐらいかけて劇場を探検していくツアーのワークショップをやったりしています。

それからレクチャー、講座ですね。「我々は演劇を通じて世界をいかに認識できるか」という平田オリザさんのレクチャーがあったり、民衆の演劇ということで学習院の佐伯さんの講演があったり、舞台芸術のクリテックということで西堂さんの公演があったり、ドラマリーディングというなかなか芝居として本にするには作品として難しいという芝居を、朗読的なんですが、そういうふうな試みでお芝居をつくったり、在住劇団ということで組織をつくっておりまして、彼たちによる公演というものがあったりなんかして、そんなふうにしてワークショップの展開にしてもかなり積極的に行っております。スタッフは全部我々が立ち会って、準備段階から楽まで一緒にやっています。

さらに、地方の劇場とリンクした活動をしようということで、今年「不思議の国のアリス」という公演を世田谷でプロデュースして作品をつくりました。神奈川にある藤沢市湘南台文化センターと兵庫県にあるピッコロシアターと長野県民文化会館と3館と共催ということで、こちらでつくった作品を回して、そういう事業を初めて試みをしたんです。チケットが売り切れの状態で、当日券はなしと、そんなふうな状況でした。また来年もぜひやるつもりでいます。

 

 

 

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