(勤務体制)
勤務体制については、ローテーションというのは決めてあるんですが、僕の場合は劇場ではフレックスで自由勝手に来て帰ってもいいよとなっています。仕事をする時間に来て、なければ帰っていいよと、そんなふうな勤務時間をつくっております。
トータルで休みをどこかで処理をすればいいわけだし、1月なり2ヵ月単位でまたがって、あるいは3ヵ月単位でまたがって調整をしていくという、そんな考え方でやっております。
(使用料金)
劇場の使用料金の徴収の仕方なんですが、劇場そのものの使用料は事前に支払うことになっていますが、備品の使用料については、使用後何カ月以内に納めなさいというやりかたをしています。
何故かというと、とにかくお芝居なりダンスの公演が多いものですから、チケット収入を劇団が回収できる前に全納しなさいということは、それは劇団やカンパニーに対してかなりの負担を与えることになるからです。信頼関係の中で公演終了後、何日間以内に、例えば2週間以内なら2週間以内に納めなさいと、そんな形で運営をやっています。オープンしてから1年半たっているんですが、劇団といえどもやっぱり社会性を持って公演をしているわけですから、払わずに逃げたりなんかするような団体はいらっしゃらなかったです。
(備品使用料)
備品の使用料というと、世田谷の場合は幕1枚を使ってもお金を取っています。袖幕、文字、例えばホリゾントもそうなんですけれども、同じように料金の対象としておりまして、機構備品の使用料として取っています。ほとんどの館は取っていないと思いますが、幕は建築物の一種だというふう考えられているからだと思います。しかしそうなると、幕の吊り替えやホリゾントの吊り替えも含めて、それをやめてほしいという発想になってしまうと思います。
僕たちの劇場というのは、袖幕1枚、文字1枚吊ってない劇場なんですね。照明器材も舞台には何もない、そういう劇場なもんですから、劇場に朝一番に来て何をするかというと、文字、袖幕の吊り込みから始まる。そんな劇場なもんですから、そういう考え方でいけば当然幕1枚お金を取るよと。照明スポット吊ったら幾らという話になるように、幕1枚吊っても幾らですよとなっています。
(共催事業での特例)
共催事業の場合、劇場使用料はすべて全部ただですよとなっていまして、その代わり入場収入の15%納めなさいと。お客様が入れば劇場の収入が増えるわけですけれども、3割、4割のお客さんしか入らないときは本当に大赤字になるわけですね。劇場使用料、備品の使用料も取れないわけですから。行政サイドも「もっと当たるやつをやってくれ」とプレッシャーをかけてきますが、話し合いをして何とか作品を選んでいます。
今の日本では彼たち芸術家を支えるための基盤がすごく弱いんで、劇場サイドとしても何らかの形で彼たちと共同作業をしていくことが必要なんで、彼たちからお金を取ることだけじゃなくして、一緒にモノをつくっていく上でどういう手法を用いればいいかと考える。そういう発想でいけば、これもまた公共劇場といえどもおもしろい一つの展開ができるんだろうと思っております。
(劇場は誰のためのものか)
そんなふうにして私たちの劇場ではかなり新しい試みをしていますが、その原点としては、「劇場は誰のためにあるのか」ということです。ものを作る演出家、作品を見るお客さん、利用するカンパニー、彼らのために劇場があるんだということから一つのルールなり運営規則を考えてこのようなルールをつくってきたところです。
運用規則というのは行政がつくるものではなくて、劇場を運営する活動方針なり、その事業方針をよく理解してそこで働いていく人間が、スタッフがつくるべきものだと。前例にとらわれずに自分たちの劇場に合ったルールを確立すべきではないかと思っているんです。
ルールというのはやっぱり時代とともに変わっていかなければいけないんだと思います。作りかえていく。そういうことはそこで働いている人たちを含めて考えていかないと、いけないと思います。硬直させてしまうようなルールであってはならないと、そんなふうに思っております。