「新しいタイプの公共劇場、世田谷パブリックシアターの試み」
世田谷がブリックシアター ディレクター 桑谷哲男
【講義の概要】
○公共劇場の規則を見直す
まず皆さんが働いている劇場の運営規則というかルールはどこでどうしてつくられたのでしょうか。当たり前のように、この劇場の規則はこうだよと、言われていることが、いつ誰がどんな理由でつくったのか疑問を持ってほしいと思います。そして自分たちの劇場の規則を見直したらどうかと思っています。
いま劇場にある公共劇場の規則の主なところは多分前例としてほかの劇場のマニュアル的なものをお借りして、それを参考にして作っている。もう一つは行政サイドで持っているルールを、財団なりその劇場の運営組織の中に当てはめていると。そういう二つの大きな項目でルールはできているんだろうと思います。
私たちの劇場ではどんなふうにしてそのルールを見直し、どんなふうにして今ルールを作って運営しているかということをご紹介させていただきたいと思っております。
(使用日数制限)
私のところの劇場の使用日数の制限は、40日まで可となっています。これは世田谷が演劇の長期公演を優先する劇場であることから、今の演劇の形態から考えていくと、10日間ぐらいの舞台稽古と仕込みがあって、それから30日間を公演日数と考えれば、まあ40日間がいいだろうと。さらに特例も認めるよと。2ヵ月であっても3ヵ月でも構いませんよと、そういうルールになっておりまして、今度12月には2ヵ月公演をやる予定です。
(使用申込受付)
申し込みの受付開始ですが、1年半前から貸館の受け付けをやっております。1年半前から3ヵ月までですね。何でかというと、芝居をやる中においては1年半前から自分たちが使う劇場を押さえてないと劇場の公演としては成立しないということからです。
貸館の内容についてはプログラム委員会というのがありまして、私もその中に入っているんですが、その中で一応内部審査をして、貸し出す相手もある程度選択させてもらっています。
(休館日)
それから次は休館日を定めていないというか、休館日を持たない、年末年始の12月29日から1月3日まで、この間に限って休館日というふうに条例で定めているんですけれども、それ以外には休館日を持たない。休館日は必要じゃないと、そんなふうに私たちは考えています。
特定の休館日を定めちゃうと、長期公演、1ヵ月でも2週間でもいいですけど、そのとき定期的に月曜日を休まなければいけない、あるいは仕込みをする日なのに、その日が休館日ですと使えないとか、バラシの日なのに使えないとかという話になりますので。
(開館時間)
開館時間。劇場の使用時間ですね。世田谷の場合は原則としては9時から22時までですが延長は全然構わないんだということにしています。23時、24時、午前1時、2時というのはざらでして、当然今日終わって次の日は朝9時からという話にもなるんです。朝も別に9時じゃなくして8時からとか6時から使いたければどうぞと、そんなふうにして対応はしているんです。皆さんの方でもバラシのときはいいよと、バラシのときはもうしょうがないと、そのときに限っては延長は認めるけれども、ほかはダメだという話が多いかと思うんです。
しかし、劇場が誰のためにあるか、劇場は何のためにあるか、ということを考えていただければ、使用時間もそんなにかたいことは言わないことにしています。