演出のマルチメデイア化というのはいろんな機器が使われて、それが一つのコンソールでコントロールできる。ディマー、ムービング、カラーチェンジャー、スクローラー、映像系、音、機構これらが全て一つのコンソールでコントロールできるような時代が必ず来る。今もそういう要求はある。
例えば、NHKホールの調光室にはいろいろなコンソールが入り込んでいて、色々な人がオペレートしています。セルコやムービング系の卓が入っていたりスクローラーの卓が入っていたり…ホールに付いている方から「これらの卓を全て一つの卓でコントロールできるようにしてほしい」という希望が出る。これは将来実現可能なんじゃないかと思われる。
同じ調光卓でも名称がどこまでおなじなのか、ムーブフェードと言ってもパートと言ってもどのように動くのか厳密に定義がない。何種類かあるので使用者が迷ってしまう。これらは一致していかなければならないだろうと個人的には思うわけです。PL法の施工で調光卓ならずとも機材であるとか何らかで影響が出てきている。アメリカでの話…自分のペットをシャンプーで洗った、そのシャンプーで洗った後に電子レンジで乾かした。チンとなって開けてみたら死んでいた。それを、裁判に持っていった。「何でそんな物作ったんだ。そんな表示はなかった。」結果裁判ではメーカの責任になった。そんな話があって、日本でも10年前からhotな議題になった。今は、とにかく色んな表示を付けるようにしている。表示を沢山付けて責任を果たせるのかという問題もある。正味期限なんかも色んな賞味期限を貼っている。
安全問題も例えば高所作業する時は必ずヘルメットをかぶる、安全帯を付ける、しかしホールで作業するときは、一カ所にずっと居るわけではないので邪魔になったりするわけで移動性と安全性が共存するのは難しい。例えば、名古屋のホールで落下して死亡したがそれ以降、どこかのホールではホールの人は必ずヘルメットを着用する。しかし、乗り込んできた人はヘルメットをかぶらないで作業している。非常にアンバランスだ。我々、メーカーとしては安全第一なので安全を優先している。今は、我々のオフィスは天井のライト交換するにもヘルメット着用しなければならない。
環境問題としては、照明を使う、非常に電力を食う。その電力に対しては、省エネという感覚はほとんどない。ところが別の所では非常にうるさくなっている。また、リサイクルの問題。ゴミの問題。ある工場ではゴミをゼロにした。これは、ほとんどをリサイクルに持って行ってるということです。こういうのがこれからの文化施設にも出てくるのではないかと思われる。
そして、コンピューター2000年問題というのがありまして日本は遅れていますが、どういうことかと言いますと昔、メモリーが大変高価な時代に19XX年というのは19を省いた。数字を4桁から2桁にするとメモリーを節約できる。ところが2000年になった時には、1900年と判断してしまう。しかし、実際照明の世界で困るのはデータをプリントアウトするときに1900年と出てしまうくらいのもので軽故障位の症状で終わりそうだ。
これより先、スライドで写真説明。(ほとんどこの講演の最初に戻って説明を行った。)
インテリジェンス型の調光卓について
最近、IGBTというパワートランジスタを使用したものがよく出るようになっている。これは、調光器のなかに入っているサイリスターで電流を開閉して、調光していくわけですが波形によってノイズが出る。これは電力会社の波形だ。(スライド説明)これを無くす為にサイリスターと一緒にリアクターというものを使用してそのノイズを緩和してやる。ところが今度はリアクターがぴんぴん、じんじん、唸ってしまう。そういうことから調光器盤室は、音の出ない隔離された所に置かれてしまう。そうするとホール毎に大きなスペースが必要になってくる。そのノイズを取ることでコンサートホールでは、舞台の近くに調光器を置いたりデッドスペースに調光卓を置くことが可能になってくる。
そうすると調光器盤室がいらなくなってくる。理想を言えばこんな風になってくる。そういうことからリアクターに替わる方式が必要だということで、それにかわるトランジスタを使った調光卓が海外から出てきた訳です。