与えられないのかもしれませんがぜひそこは機構改革をみなさんが声を大にして云っていただいて、もっともっと勉強するチャンスをもってほしいんですよね。そうしなければやはり兄貴分として、これからはこうだとかってことが言えなくなってしまうと思うんですよね。
それから文化創造活動のパートナーのことですが、新田町でつくったミュージカルの照明のデザインはその館の技術管理をやっている方にしていただきました。舞台美術なんかはプロを呼んできたんですけど、できるだけ館の常駐スタッフに活躍をしてもらおうと言う考え方にしました。そうしませんとこれも失礼な言い方なんですけど、あがっちゃった人、リタイアした人がやってる会館って多くありませんか。そうすると、自分は芸術面にタッチするチャンスがない。どんどん物事は新しくなって来ますから、知らない器具ですとか、照明機材でも音響機材でも全く知らない物を使っていたりするんですね。すると突然200ボルトの電源くれといわれても、うちはそういうのは使わせないよとか、だめだめと言いがちなんですよね。
そうなってしまうと困るんで自分が芸術面に参加するチャンスを与えてあげないと本当はホールの職員になった人も、もともとはそっちで名をあげようという思いを抱いてこの業界に足を踏み入れたのではないでしょうか。それが色々、縁があって地元の帰ってきているわけですけれども、なるべく芸術面にタッチして最新の物を学び自分が使うチャンスをあたえてあげるということってすごく大事なことだと思うんですね。それをプロの公演でやれといわれても無理ですから地元の人たち、文化団体の発表会ですとか色々なところでスタッフのノウハウというものを生かしてあげる場を作ってあげるということが必要だと思います。ですから例えば、従来、貸館事業といっていたものも今、うちがプロデュースしているホールでは貸館事業という言い方はやめています。
活動促進事業とか活動支援事業とかいう言い方をしてまして施設を貸すと云うことだけではなくて、ホールにいる人材のノウハウを提供することと、本番、仕込みのスタッフですとか、技術スタッフでもピンを撃つ人ですとか、客席の案内をする人といった人材も提供しますと言う風なことを事業課がしていこうと言うことなんですね。それは金を儲けようと言うことではありません。例えば、ここでこんな風な照明を使ったらばもっとずっと良くなるよということがわかっていたなら館の方がそこで言ってあげてお手伝いをしてあげるべきなんですよね。そうじゃなかったらこんなすごい建物を作る意味がない。そこで追加でいくら下さいと言う言い方は是非やめていただきたい。それくらいサービスしたっていいじゃないですか。
技術面だけじゃなくて例えば客席の案内ですね。先程、館長さんとお話ししていたらもぎりとか云うとあるイメージでは誰でも出来る簡単なことという意識があると思うんですけど、これはそうじゃないですよね。サントリーホールですとか東京、大阪の一流の劇場に行ったとき、すごく気持ちがいいのは芝居とかコンサートが始まる前にまずその館に行ったときに自分がどのように迎えられているのかというところでまず気持ちがいいでしょう。
そうするとその館のスタッフがどういう形で立っていてどういう言葉遣いで話をするのか、チケットをもぎってもらったときになんて言ってくれるのかということがものすごく大きなその日1日の公演の楽しみ方に大きな影響を持っていると思うんですよね。水戸芸術館ではフェイスという名前を使ってますよね。女性達がいっぱいいますけど、フェイスというのは顔と言う意味ですからその館の顔なんですよ。お客さんとしてはその日1日楽しめることが出来ますし、そこのスタッフ、フェイスをやっている人たちも水戸の女子高生としてはそこのフェイスに選ばれることが価値のあることになっているのではないかと思うんですけどもそういう風になってくれば最高だと思います。
そういう人たちもただ居ればいいというんじゃなくてきちんと教育してあげることが大事だと思うんですね。今、たぶん僕らの時代、道徳とかそう言う授業がありましたけど今あんまりないですよね。言葉遣いを教えるとかお辞儀の仕方を教えるなんていうことはまずないと思うんですけどそういうことをきちんと教えてあげると皆さん非常に喜びます。自分が知らなくて出来なかったことができるようになるわけですよね。それはある意味では自己実現の場にもなるわけですよね。ですからホールがそういった人材の教育、育成の場になってくるということでもありますし、やりたい人はたくさんいます。ただ残念ながら募集をするとお年寄りが多いんですね。60過ぎのおじいさん、おばあさんが集まっちゃうんで、こちらの思いとしてはできれば10代ぐらいが集まってほしいのですが、それと合わないこともありますが、参加したいと意欲を持っている人はたくさんいます。