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言われるんですけど、それは確かにそういうこともあるかも知れませんが、じゃあ何年に一回かと考えるとまあ毎日はきてくれることないですが全国3000のホールがあって中村紘子さんががんばって毎日コンサートをしたと考えても365日コンサートをやっても全部の会館を回るのには何年かかるんでしょうか。6年ぐらいですかね、ぐらいかかっちゃうんですよ。

それから自主事業と言っても積極的にやっているホールでもこの中で年間100本以上やっているところ有りますか。ないですよね。50本は。50本もないですか。20本は。ないですか。地方の会館だったら新日本フィルが小屋を借りて小沢征爾でコンサートを打つぞということはまずないですね。東京、大阪、福岡、札幌ほとんど限られた都市しか成立しないと思うんですよね。ですから観賞型のつまり誰でもそこに住んでいる人が知っている方の催し物をやろうとすればおのずと自主事業でやらざるを得ない。でも自主事業というのはやればやるほど赤字ですよね。特定の演歌とかをのぞけば。ですからなかなか自主事業の本数も増えていかないわけですよね。となると観賞型のホール、つまリー流のアーティストが来てくれると言うことを目指してホールを造ると言うことがどれだけ現実と離れているかということがおわかりいただけるかと思うんですけれども、もちろんそれは大事なことで頻度としては少なくても重要度としては高いと思いますけどそれだけでは絶対埋まりっこないわけですよね。自主事業が例えば20とすると365日の20ですから残りの345日、メンテナンスその他を抜けば300弱ぐらいの日数というのは自分たちで何かやっていなければならないわけですよね。それを抜きにしてホールって語れないわけですよ。ですからホールの基本構想、基本計画を作るときに事業というのはアーテイストが来て何かをやるような観賞型のことだけを目指して事業と呼んでいましたけれどもうそれは全然現実とあっていない、むしろ貸し館事業をどうするのか、つまり地域の人たちがそのホールをどう利用していくのかということに焦点を合わせなければ成立しないではないかと思うんですよ。これはまた後で皆さんのご意見を聞かせていただきますが、それが現実だと思います。

となってくるとどうやったらみんなが興味を持ってくれるのかやっぱり家庭にいてテレビを見ているわけです。また、ビデオに録画しておけば好きな時間に好きなだけみれますし黒部の時もそうでしたが、黒部の町の人がどんなことを楽しみにしているのかというと男の人は酒を飲みに行ってカラオケを歌うことそれからパチンコに行くことそれから車を転がすこと大体この3つなんですよ。女性はあんまり夜、外に出なくて夜、家の中でひっそりしているらしい。じゃあどうやって劇場に人を集めるのか。ということをもっともっと考えていかないといけないなという時代になってきてると思います。それで僕は第三世代、観客のためのホール。観客イコール市民ですけどもそういうことを考えていかなければならないと思っています。大きなポイントというのは地域創造という財団ができましたよね。ご存じだと思いますけど、文化庁が文部省から分かれて文化行政の司る中央官庁ということでいたわけですけど、それに対抗するといっては怒られてしまうかも知れませんが、地域創造は自治省ですよね、自治省が作った外郭団体。各自治体から色んな人が出向で行っているわけですけど、従来、文化行政なんて言うとどちらかというとはずれ者が行くところ、そんなことを言ってはいけないですが、云うところがありませんでしたか。突然、政務次官になるような方がいらっしゃるところであればやっぱりうちの自治体としてもトップクラスの出世頭になりそうなやつを送り込もうとかいう流れが多少有ったように思います。

僕らのやった仕事でも民間の計画で三菱商事で劇場を作ったことが有るんですけれども、三菱商事は、商社ですから貿易の話をする。商談をすると言うときに外国人とまず挨拶をして次に出る話というのはすぐにビジネスの話じゃないんですよね。まず、なにがテーマになるかというと文化なんですね。文化について詳しくなければ商談も成立しない。ですから企業のトップクラスという方たちはちゃんと文化のことも分かっている。自治体の場合もやがて偉くなって三役になる人たちはせめて文化会館で3年ぐらい修行してですね、文化に関する知識を身につけていかないと、上に上がれないという世の中に、なってくれたらいいなと思っているんです。

自治省というのは文化庁と比べて全然お財布が大きいんですよ。ですから、文化庁が出す補助金と1桁違う、街作り事業なんかいうと億の単位じゃないですか。文化庁の補助金て数千万ですよね。

 

 

 

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