コンサートのミキシングは客席で操作することが多くなり、演劇でも音響室を使わず、客席内で効果の操作をする傾向にある。これらは舞台の音を確実に拾う目的からそうせざるを得ないわけで、それに伴い、電源や回線敷設に対しての配慮、指導も必要になる。主に撤収の際に舞台や壁面に損傷を与えることがある。
ポイント4 電源について
音響専用の電源は用意されるべきである。最近、高調波の影響が問題になっているが、音響機器からも高調波が発生する事が指摘されているも絶縁する事を目的としたトランスを用いたり、余力のある電源の供給を受けたりしてある程度の防止効果を得る事が出来るようである。詳しくはJATET(東京)にお問い合わせいただきたい。電力の供給は持ち込みの分電盤を用い、安全に機器の使用が出来るように持ち込み側を指導するべきである。
更に雑音防止の見地からもアースの提供も必要になる。日頃のアースの点検も肝要な事である。
電源の取り口は客席ミキサー席、効果席(例えば花道鳥家奥、仮花奥)舞台袖上手、下手などにあるのが望ましい。
最近の傾向として電力増幅器をラックに収め、スピーカ近傍に置くことが多くなっている。これは音響出力が大きくなって来たことを受けた結果である。
大電流が流れるスピーカー配線を極力短く、と云う要望や点検を容易にする結果を生んでいる。(ファンがうるさいこともあるが対策は可能である。)
ポイント5 最近の傾向
調整卓をデジタル化する事は良く提案されることである。回路内の素子がデジタル化する事はS/N、ダイナミックレンジ等のことから見るかぎり有効であり、素子の性能の安定化の傾向から見るなら歓迎すべきだと思う。が突発事故やその対応を考えると接続や組み上げに関してはアナログ製品は捨てがたいものを持っている。
スピーカーにアンプをもたせる傾向が殊に仮設用として開発されている。設備用には電源の配慮、鼠害等からの防止対策など未経験の部分が多い。
ポイント6 最近の傾向-2
最近の機器の傾向としてはS/Nが飛躍的に良くなってきている。
その為にミキサーのフェーダーを上げたままにしてショックノイズ等をスピーカーから出てしまい、傍にいた人に聴力障害を与えるなどのケースを知らされる事がある。
これはスピーカーの性能が急速に改善され、高出力のものが多く開発された事もあってケアレスミスが今後起こりうる事を示している。ポイント2で述べたようなコネクターの整備不良などから思わぬ災害を招くこともあるので充分指導されたい。
火災報知器との連動など仮設の場合注意が払われていない事がある。音響に従事する技術者に充分注意を喚起する必要があろう。