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4. 改修計画にあたって

改修計画にあたって、どの措置の改修が必要であるかの判断は、多方面に渡っているため定義づける事は難しいと思われます。我々メーカー側として安全性を第一に考え次の点を考慮してご相談させていただいております。

 

1. 安全対策のなされていない装置に安全装置をつける。

安全に対する考え方は、時代と共に変化してまいりました。本人の注意にたよった安全にあまり配慮されていない時期より、何らかの事故のたびごとに安全対策がなされた時期、現代のように安全最優先の時代と変化してまいりました。

あまり安全が配慮されていない時期の装置を安全性確保のために現時点の装置並の安全装置の設置が必要であります。

例えば、

1) 迫り穴への墜落防止装置

舞台床下に設置されるスライド式落下安全板、ネット

開口側面よりリンク機構によるはねあげ式がる落下安全板、ネット等

2) 網元全面の安全柵、ネットの設置

3) ブリッチ類のブリッチ上の作業に対する安全対策

4) 耐震措置

 

2. 安全指針に適合していない装置の不適合箇所の改修

装置の安全性を高め、寿命を延ばすためにも必要であります。

特に吊物装置について注意する点については、次のとおりです。

1) モータ、減速機が使用条件に適した型式、容量のものか?

2) ワイヤロープの安全率と、適正な取付け金具であるか?

3) ドラム、シーブ、滑車類のサイズは規定以上か?

4) ドラム、シーブ、滑車類のフリート角度が規定以内か?

5) カウンターウエート、ガイドレール、制御盤等に耐震処置がなされているか?

6) ブレーキの制動力が必要トルクの1.5倍以上か?

7) ファイナルスイッチ、緊急停止スイッチ等が設置されているか?

8) ワイヤロープ外れどめがもうけてあるか?

9) 機器の保守点検、整備のためのアクセス等があるか?

 

懸垂物について特に注意点は、次のとおりです。

1) 電動機で昇降、回転、走行するものに過巻防止装置があるか?

2) 電動機で昇降、回転、走行するものに過負荷防止装置があるか?

3) 電動機で昇降、回転、走行するものに過走防止装置があるか?

 

3. 耐用年数について

舞台機構設備の耐用年数の算定は非常に決めにくい。エレベーター(耐用年数17年)エスカレータ(耐用年数15年)に比べ極端に使用頻度が少なく、且つ運転時には確実に始動・停止が行われないことには、それこそ芝居にならない。

設備装置などは経年による経年劣化を避けることができない。やがて故障などがおきて装置としての使用ができなくなる時がくるが、それまでの期間を年数で表わしたものを耐用年数と呼ばれているが、この耐用年数としての判断は、(a)、物理的な劣化即ち、摩耗や損傷によって機能や性能が維持できずまた修理することが得でなくなった時点あるいは(b)、相対的劣化(旧式化)即ち、優れた新しい機能を持ったものが開発されたことにより、現存のものが、社会的、経済的に陳腐化してしまう場合がある。

 

 

 

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