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脳成熟の過渡期にある青年期においては、突発波を含む脳波上の異常は加齢とともに成熟に向かう可能性のあることが今回の調査でも示された。そこでわれわれは、未成熟性の所見として最も代表的なPTWに注目し、他の基礎律動構成要素の成熟度や突発性脳波活動との関連について検討した。

 

2. 後頭三角波(PTW)

若年者においては脳の未熟性の指標と考えるのが一般的であるが、成人の後頭部徐波については、人格障害患者、精神分裂病患者でより高率に出現するという報告10)や、攻撃性、反社会的行動などとの関連1)2)、遺伝や脳成熟の遅れとの関連を指摘する報告1)2)10)11)がある。17〜24歳を対象とした、2000名に及ぶこれまでのわれわれの調査4)9)13)17)19)22)23)25)では、PTWは16.1%に認められ、出現率は年齢とともに有意に低下し、22〜23歳でプラトーに達していると考えていたが、入試時にPTWを認めた53名中約半数の26名が卒業後消失しており、25歳以降も減少傾向を示していた。今回入学時に176名中53名(30.1%)と高率にPTWの所見を得たのは、PTWの推移を詳細に検討するためにPTW(±)まで含めて判定したことに起因していると思われる。

 

3. 突発波およびそのPTWとの関連

これまでの年齢別に調査した横断的研究4)9)13)17)19)22)23)25)では、突発波の中では徐波群発が最も出現頻度が高く、PTWとの関連で有意差を認めたのは徐波群発のみで、その他の突発性脳波活動には差が認められなかった。今回の検討においても、青年期のPTWと徐波群発とは相互に関連して出現しやすく、いずれも脳波の未熟性を示す所見と考えられ、PTWを認める場合の徐波群発はより発達との関連が強く、変化の可能性を残していると考えられた。島崎ら24)はPTWと徐波群発の重複出現例について検討しており、臨床的解釈については「保留」として脳波経過を追っていくべきであると報告している。今回の結果もそれを支持する結果である。

 

4. 入眠期過同期(hypnagogic hypersynchrony)とPTWとの関連

入眠期過同期とよばれる波形は傾眠期に認められ3〜5Hzの突発性で律

 

 

 

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