1名(表2のE)は徐波群発に変化はなかった。入試時には認められず卒業後に初めて徐波群発を認めた3名中止名(表2のM)は入試時よりPTWを認めていた。入眠期過同期が認められた2名(表2のR、S)はともに卒業後に入眠期過同期は消失し、1名(表2のS)は同時にPTWも減少していた。
IV.考察
脳波基礎律動の成熟時期は、18〜20歳とする報告が多い。しかし、成熟過程は徐波、α波、β波、それぞれによって少しずつ異なり3)5)21)、さらに各周波数帯域によっても異なるとの報告もみられる8)14)15)16)。しかし、青年期の脳波所見を同一個体について追跡観察した報告は少ない。
今回われわれは、入試時19〜24歳から3あるいは4年後の脳波を縦断的に調査することによって、PTWや、α波の周波数、振幅、出現部位、徐波の最低周波数など、これまで報告した脳波成熟過程における注目すべきパラメータを用い、その有用性を確認すべく検討を続けてきた。
1.脳波総合判定の変化
今回の結果では、入試時に境界と判定された20名のうち15名が、卒業後には正常の判定に変わっている。入試時に境界の判定とされた対象の脳波所見は、徐波群発もしくは徐波や速波の混入による基礎律動のirregularityであったが、正常の判定に変わった15名中12名がα波の全般性の出現傾向から後頭部優位へと変化、徐波、速波の減少または低振幅化に伴う基礎波のirregularity が改善したものと徐波群発が消失したものである。また、卒業後も境界のままであった5名も徐波群発の頻度や振幅、基礎波のirregularityは改善の傾向にはあった。これは、われわれが行なってきた2000名にも及ぶ年齢と脳波総合判定という横断面における調査4)9)13)17)19)22)23)25)での、脳波総合判定で異常の出現率が加齢により減少する傾向がみられたという結果を支持するものである。
一方、入試時正常であった者のうち10名が卒業後に境界となったが、そのうち5名は基礎律動の異常で、傾眠など生理的覚醒度との関係は否定できなかった。入試時には認められず、卒業後において初めて徐波群発を認めた者は3名いた。