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昭和三十年まで人形芝居を果行していた内田正也さんとその奥さん

 

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オートバイサーカスとお化け屋敷の見世物小屋。

 

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デモンストレイションをする今春入団した若い団員。

 

◎ハレの本番◎

 

私は、取材を打ち切り一度東京へ戻った。そして、七月三十一日に再び釧路を訪れた。日が暮れる頃になると、露天商が連なる釧路の裏通りは、人で埋まり、浴衣を着た若い女性の賑やかな声が短い北海道の夏の夜を駆け抜けていく。

栄公園の一角は、北海道興行企画の興行地域である。ワールドオートバイサーカス、マジックハウス、サッカー、弓、ピッチングの興行が行われている。トラックの中にこれだけの道具類が詰め込まれていたのである。そして、昭和三十年まで、人形芝居小屋を興行していたという内田正也さんもお化け屋敷を営んでいた。

「昔は、開場するまで行列ができました。一番最初に並んだ人に大神宮様の御札を上げ、その人の切符を木戸に飾っておく、縁起を担ぐのです」と山川さん。

オートバイサーカスの前では、今年入団した若者が、レーサーの身なりでローラの上をオートバイに乗り、手を放したり、片手、片足を高く上げ曲芸を見せながら、客の興味をそそっていた。まだ見習いなので、小屋掛けする時、先輩の若者から厳しく仕込まれていた男であり、ハレ舞台のせいか顔つきも堅くその姿は見違えるほど勇壮であった。その隣には、百万円の懸賞金という看板が立っている。つまり小屋の前でデモンストレイションをする若者のとうりバイクを乗りこなせば、賞金がもらえるということだ。スカウトを兼ねているという人もいる。

 

 

 

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