私は本当は六代目なんです。ところが私は披露もなにもしていません。新橋、虎ノ門は松坂屋の区域だったのですが、戦後事件が起きて、松坂屋は解散になってしまいましたが、その区域を守るため、四代目(鈴木孝四郎)が若い香具師を数人引き連れて松坂屋を再興させたのです。しかし興行のことは何もわかる人がいなかったので、私がいた寄居一家の親分と四代目との話し合いで私が松坂屋へ入ることになったのです。寄居一家は大きいが、せいぜい番頭りだ、今は小さいが困っている松坂屋へ行きなさいと進めてくれたのが私のオヤジ(西村宗吉)です。五代目が亡くなって、あとを継げと言われたのですが、断りました。それで、五代目代行として務めていますと、その内、五代目というようになってしまいました。