今安田村と云ふ、赤坂の西南にして、小駅市也、阿賀野川へ近し、新潟新発田より津川若松等に通ずる一站とす、新潟七里、津川七里、新発田六里。方俗安田ダシと称する東南風は、阿賀野川の峡谷に起こり、安田の地其風口にあたるを以て此名あり、春夏の頃殊に多く、連日止まざる事あり。安口は貞享二年安字を改めて保を採り、保田(やすだ)町と云ひ、今も大字には保田を依用す、此町昔火災ありしに安田の反切(はんせつ)は煙(エン)なれば、其安字を忌むべしとて改更したりと、拘忌の陋習笑ふべし。
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