(4) 修理と補強費のコストについて
・破損個所の修理(次述)
・耐震耐風のための補強
・防災設備の設置(利用状況により)
・再利用の為の内外装(利用状況により)
・快適設備(空調、衛生、電気など)等が必要と考えられる。
(5) 維持費について
・エネルギー費用
極力維持費の掛からない機械設備の合理的な設置を考える、自然環境に馴染んだ施設とする。
・メンテ費用
出来るだけメンテ費用が少なくて済む資材設備を使う
・人件費
出来るだけいろいろのことを利用者が自分でやることが出来る様に計画しておく
(6) 最低必要と思われる修理
修理及び整備の範囲や程度については、まず活用の具体的な目的案が出来て、それに見合った合理的な方法や程度を考えるのが良い。しかし何に利用するとしても、こういう範囲のことを考慮する、あるいはしなくても良いと言う材料も必要であるので、そういう観点からそれぞれの建築エレメントについて考えておきたい。具体的には、後述の工場修理の項で項目毎に取り上げたい。
又配慮する基本観点としては
・防災上の必要性
耐震、耐風雨、耐火性、避難通路、避難空間の確保
・快適利用
採光、通風、防湿、清潔除菌、老人子供の安全利用
・環境保全
緑地の確保、安全な資材の利用(天然資材中心、合成製品を避ける)、少エネルギー設備
などとする。
又参考となる法規制を列挙すると
大規模木造建築物特殊建築物(不特定多数の利用)(既存不適格建築)とした場合
・全面道路巾 ≧4m
・避難通路 ≧1.5m
・建ぺい率 ≦60% 準工業地域
・構造の制限 屋根、壁、軒裏 不燃構造 防火構造
・面積制限 ≦3,000m2
・防火区画 ≦1,000m2
・必要換気 ≧A/20
・排煙面積 ≧A/50
・非常出口
・防災設備 自動火災報知設備、消火栓、スプリンクラー、非常放送、避難誘導灯、非常照明、防火用水
等の規定を参考とする。
注:防災には積極的な対応(例えば火災の予防いち早い感知消火など)と、まずは人的安全(例えば有効な避難場所、避難のしやすさ、パニックを避けるなど)という面がある。ここはどちらかと言えば後者に重点を置く方がよい。又当初は工場であるから特定の規則的に管理された利用であったのが、不特定の人々の多目的な利用に変わるから、法規上の問題は別としても、現実に人の安全には配慮した修理活用が望ましい。
(7) 敷地空間と建物外観について
・全周外壁保存
外壁は修景になる
・内部空間利用の方策としては
(a) およそ1/2部分を改修保存活用し残部は外壁と中広場とする。煉瓦壁と木構造を分離してとらえ、それぞれの補強をする。
(b) 一部は文化財保存に重点をおき構造屋根すべてを元に修理復元し博物館的利用。そして他の一部は構造等すべてを新設し新しい活用空間として利用する。
(c) 又はその中間的な方法などがある。
・倉庫部分は外壁保存とする。理由は屋根の損傷が激しいこと。外壁のみでいい空間と見られる事。