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3-2 ワークショップ3]「保存活用事例」

 

(1) ワークショップの概要

1] 洲本市煉瓦建造物活用事例を視察する

くまとり煉瓦工場調査団では、旧中林綿布工場の保存活用の提言にむけて調査・討論を重ねてきたが、今回は煉瓦造建築物の活用事例を見に行くことになった。視察先は、洲本市のカネボウ紡績跡の煉瓦工場建築物群である。

台風一過の10月19日、熊取町からバスに乗って明石海峡大橋から淡路島に入る。調査団メンバー、調査委員の三村浩史先生、山野俊一先生、事務局と、今回は熊取町の商工会さんも御一緒に総勢48名である。淡路への途中に神戸のハーバーランドにある煉瓦倉庫レストランを見学する。神戸のハーバーランド、ウォーターフロント開発のはじまりの整備地区である。煉瓦倉庫2棟がビアレストランや和食レストラン、ギャラリーなどに活用されそのまわりもウォーターフロントとしてのふさわしい整備がされている。ハーバーランドも開発が進みいくつかの高層ビルが建ち並んでいるため、なんだか煉瓦倉庫レストランがいやに小さく感じた。

明石海峡大橋を通っては1時間程で洲本に到着する。洲本港に隣接して広大な敷地にあったカネボウ紡績であるが、今はその敷地もおおかた縮小し、半導体の工場が一部に残るのみである。ちょうどお昼に到着したので、レストラン「御食国」で昼食となる。ここは第3セクターで運営され、淡路の特産品である淡路牛などのメニューを中心に提供されている。また特産品販売コーナーもあり、淡路島の特産物を数多く販売されている。

 

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神戸ハーバーランド・煉瓦レストラン

 

2] 洲本・保存活用までの経緯

午後からは、洲本市の都市整備課の坂本課長、上崎係長の説明を受ける。カネボウ紡績は明治期に創業をはじめ、ピーク時は4,000人の従業員を抱え地域経済の中心であった。しかし昭和30年代に入ると繊維産業はかげりをみせはじめ、工場のほとんどは有休化し昭和60年には繊維部門は閉鎖され、これに変わって電子工場として一部操業する。また敷地の一部はショッピングセンターとなる。洲本市としても市街地の中心でもあり、道路整備や港湾の開発などの重要な位置をしめていた工場跡地をどうにか活用していきたいという気持ちでカネボウと協議を重ね、平成6年に「洲本市新都心ゾーン整備構想」をまとめる。工場跡地、社宅跡地と内港埋立地を含めた15haの整備構想である。

 

3] 10年前のカネボウ紡績の煉瓦工場群

カネボウ工場跡地は明治から大正時代にかけて建設された煉瓦造建築の工場がほとんどそのままで残されていた。実は私は10年ほど前に洲本を通りかかった時にこの大規模な煉瓦工場をみてびっくりし、それからこの壮大な煉瓦建造物群の姿が忘れられなかったのである。それから数年後にたまたま洲本市の商工会関連でこのカネボウの工場を見学させていただく機会があった。

 

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レストラン御食国

 

 

 

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