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51棟すべての町家の正面に下屋庇があった。しかし、現在では庇の前面に外壁を設け、庇を家の内に取り込んでいる例が多い。庇の葺材は、薄板や厚板葺き、その上に鉄板を葺くもの、土瓦葺きなどがある。薄板の上に鉄板を葺くものは、約45%に相当する22棟であった。

1階出入り口は、木ガラス戸、サッシュ戸、格子戸などがある。現在はサッシュ戸が多いが、昔は大戸や上げ戸が表側の建具として使われていた。しかし、現在は大戸や上げ戸を用いている例は1棟もなかった。ただし、前面柱に元の上げ戸の溝が残っている例が多かった。

以上のことから、大野市内にみられる町家の一般的な表構えについて、屋根は土瓦葺き、間口は3間〜5間、軒形式は腕木、2階壁面は真壁・白漆喰壁で、両端に袖壁がつく。下屋庇があり、葺材は薄板の鉄板葺き、格子はない例が多く、ある場合は平格子、出入口はサッシュ戸であるのが最も一般的な形式といえる。なお、これら各要素のうち出入口のサッシュ戸は、昔は大戸や上げ戸で、正面に格子を持つ町家が多かったと思われるが、他の要素は明治期と同じであったとも考えられる。

(2) 表構えの各要素について

■下屋庇

町家の大きな要素をなす下屋庇は、1間置の正面柱に差された腕木と、出桁によって支えられる。屋根は瓦、金属板や板によって葺かれるが、多くの屋根は直接出桁で支えられ、一部が垂木で支えられる。垂木の場合は金属番や瓦の場合が多く、軒裏に天井が張られる場合がおおい。直接支えられる屋根は板が多く、板厚が2寸程度の厚さで1枚のものや2枚を重ねるものがあるが、横町通りの正津家のように3寸以上になるものもある。板は突き付けとなり、上に薄い目板を取り付け雨を防いでいる。また、この上に防腐のため金属板を載せることもある。

 

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