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6) 構造・架構形式

(1) 構造・架構の特徴

大野市の伝統的町家の骨組の特徴は、前方と後方から梁間方向に1間間隔に架かる登梁とそれを支える桁行方向の地棟あるいは2本の敷梁であり、登梁を受ける前後の側柱や地棟や敷梁を持ち上げる中柱(大黒柱)や妻側列の柱に通柱を用いていることである。つまり、登梁・地棟(敷梁)・通柱の中柱と側柱が架構全体の主要な枠組を形成している。そのために1階の管柱や二階床梁、二階管柱などは、特に構造的制約を受けないから寸法的に木細いものでよく、位置も比較的自由にとることができる。

(2) 小屋組の形式

2次調査31棟のうち、断面を実測したのは16棟であった。これら16棟の小屋組はすべて登梁を用い、小屋裏を物置や作業場としている。登梁の架け方には図に示したようなA、Bの2形式がある。A形式は前方と後方から2本の登梁を渡し、棟通りの地棟で支える形式であり、B形式は棟通りからそれぞれ前後に半間〜1間ずれた位置に渡された2本の天梁で、登染を受ける形式である。A、Bどちらの形式を採用するかは、主屋の奥行き間数と関連している。すなわち、どちらの場合も登梁が架かるスパンは2間あるいは最大でも2間半であるから、主屋の奥行き(梁間)間数が5間以下の町家ではA形式、奥行きが5間を超す場合はB形式が採られている。(表一参照)また、B形式の天染間は水平の繋梁が渡り、そのスパンは2間〜2間半である。

 

架構形式の分類

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登梁と奥行の関係

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ところで、地梁や天梁の端部は妻壁から少し露見しているのがほとんどであり、断面調査を行っていない町家についても、妻面をみればどちらの形式の小屋組を用いているかが判断できる。また、表構えの項で触れるように、大野の町家の軒形式は腕木形式と登梁形式に大別できるが、登梁形式の外部に出ている登梁は、長方形断面をもつ整った欅材であり、小屋組に使われている登梁とは前面側柱筋の少し内側で金輪継ぎれている。

 

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