1章 調査の目的と背景
1. 本調査の目的と範囲
(1)調査の目的
急速に進展する観光情報のマルチメディア化、ネットワーク化の中で、旅行者が望む情報をいかに効率良く収集し、適時、適切な媒体で提供することができるか、現存する人間系での観光情報収集・提供ネットワーク(日光市:POPAIネットワーク)をモデルとしてマルチメディア型観光情報の収集・提供実験システムを構築、運用することにより分析、検討を行った。
(2)調査の範囲
本調査はモデル地域(日光市)におけるマルチメディア型観光情報の収集から提供までを基本的な範囲とし、取り扱う情報としては、気象、渋滞、開花、紅葉、積雪、イベント等の日々刻々と変化する観光情報を念頭に置いた。
また、観光情報を収集・提供するメディア及び観光情報のデジタル化について、情報の収集面においては気象計測器、電話回線及び気象情報自動収集システムにより収集時点での気象データをデジタル化、気象情報以外の情報は電話で収集し、日光観光協会の観光情報収集・提供実験システムへの入力時にデジタル化を図った。また、情報提供端末(機器)及びネットワークはインターネット、ファックス、磁気掲示板の3つとした。
2. 調査の背景
(1)平成9年度マルチメディア社会に対応した観光情報基礎調査の提言
本調査は、平成9年度に実施した「マルチメディア社会に対応した観光情報基礎調査報告書」を踏まえた上で実施するものであり、中でも「5章調査のまとめ」、「6章マルチメディア型観光情報の収集・提供の仕組み作りの研究」については、本調査の格子的要件に位置するものである。
(1)-1.「5章調査のまとめ」の要約
ここでは、旅行者である一般消費者と媒介する業界、そして観光地(地方自治体)という3つの観点から各々の観光情報に対するニーズと提供の現状をまとめている。特筆すべき課題としては、観光情報の利用者である一般消費者のニーズと観光情報の提供者である地方自治体のニーズの食い違いである。また、今後の課題としては、急速な発展、普及を遂げ、今後ますます普及が進むと考えられるインターネットでの観光情報の提供が存在した。