砕氷船の運用コストは商船に比較して小さい。氷のボスニア湾を航行することができる十分大きくて強固な商船の運用コストは、約10,000ECU/日である。氷の季節には20,000隻以上のコールと、フィンランドに向かう船だけで30,000,000トンの貨物輸送がある。商船の運航スケジュールはびっしり詰まったものであり、停泊時間は原則として、港に着いて荷を積むまでの最小の時間である。もし、海上交通ができるだけスムーズに流れなければ、経済的にかなりの損失を被るであろう。
良質な氷サービスが国の経済へ与える節約効果は、一隻あたりの平均の節約時間を見積もることにより推定することができる。例えば各20,000のポートコールに対して半日の時間ロスが起こったとしたら、経済的損失は100,000,000ECUもの膨大なものになる。しかし、フィンランド海上交通の60%がフィンランド湾におけるものをであることを考慮すれば、海氷期間はある港から別の港では異なり、それゆえに全ての船舶は砕氷船を必要とするわけでなく、時折必要とするだけである。そこで氷の状態による経済的な損失は、1氷期間では10,000,000〜25,000,000ECUであると見積もられる。
今日、船舶はFMAとSMAに航路の使用料を支払わされている。これには砕氷船の支援費用も含まれている。全ての船舶は入港時に使用料を払わなければならない。その使用料は船舶のFinish-Swedish ice クラスと総重量に従って支払われる。もし、船舶輸送がよりスムーズに行われるならば、その時、船会社は利益を得る最初の会社になるだろう。これは輸送されるトン当たりの価格が減じられることを意味する。結局、良質の衛星データは国全体の経済へ影響を与えることになるだろう。
バルチック海は半年近く氷で覆われ続ける。この結果、フィンランド、スウェーデン、ロシアおよびエストニアでは、航行が困難になる。平均的なあるいは厳しい氷の期間では、全てのバルチック海沿岸国、ノルウェイおよびオランダにおいて交通は困難になる。海氷が厳しい期間の、交通が最も困難な地方においても、かなり大量の物資が輸送されている。それゆえに、フィンランド、スウェーデン、エストニア及びロシアにおいては、財政的に有効な支援がなされなければ、冬季の航行においてかなりの経済的な損失を被るだろう。
5.5.2 グリーンランド水域における要件
グリーンランド水域の大部分において、一年を通じて海氷が出現する(図5.6)。氷は古い極氷が支配的であり、グリーンランドの東海岸と西海岸の南部に沿って現れる。また、バフィン湾に形成される一年氷も支配的である。
北極海の氷のほとんどは数年の古さであり、平均の厚さは3.5〜5mである。氷に満たされた海水は、北極海盆からフラム海峡を通じて流出する。そして、一年のほとんど、グリーンランドの東海岸全域に沿って伸びる氷の帯を形成する。沿岸に沿って漂いながら、浮氷(floe)は小さい部分に砕け、局所的に生成した氷と混じる。解氷期間では極氷(Polar ice)の厚さは、フラム海峡における4〜5mからフェアウェル岬海域における約2mに減少する。ほとんどの年では、数ヶ月間、小さい浮氷からできた古い氷がフェアウェル岬海域に現れる。最盛期(3〜5月)では、その氷は西海岸に沿って700kmにも達する。