蔽雪氷(snow cover on ice)
氷の上の雪は衛星観測において重要である。というのは、氷上に雪が積もっている場合、可視と赤外データは基本的に雪をみることになり、その下の氷は見えないからである。マイクロ波システム(SARや受動型マイクロ波放射計)は、雪が湿っている夏季を除いて、蔽っている雪を通過してみることができる。それゆえに、マイクロ波システムは可視、赤外システムよりも、氷の種類を判別するのにより適するものである。
5.4.4 氷の動きの衛星観測
海氷は静止しているか漂流している。静止している氷は普通fast iceと呼ばれるが、一般的には冬季を通じて沿岸域に定着する一年氷と多年氷として見つかる。Drifting iceは風と海流の影響で動いている。漂流している氷の速度と方向を算定するためには、動いている氷の場を二つの異なった地点で適度に短い時間間隔で位置を突き止めなければならない。これはセンサが高分解能を持ち、運動が起きる範囲をたびたび蔽って観測をしなければならないことを意味する。沿岸から遠く離れた深海における海氷のほとんどはdrifting iceである。
AVHRRとSARはともにfastとdrifting iceを同定するのに用いることができる。SARは氷の速度ベクトルを推定するのに最も優れた能力を持っている。というのは氷の特徴を認識することができるからである。SARの主要な問題は、代表的なデータセットを得るために、規則正しい時間間隔で充分大きな範囲をカバーすることである。