第4章 海氷数値モデルの開発
この章では、オホーツク海におけるオペレーショナルな海氷予測への使用を目的として、2種類の海氷予測モデルについて、その適用可能性を調査した結果をとりまとめる。
4.1 SSM/Iデータを用いたオホーツク海の氷況シミュレーション*
この節では、衛星のリモートセンシングにより得られた海氷データと流氷の運動力学的モデルであるDistributed Mass/Discrete Floe モデル(DMDFモデル) を用いて行ったオホーツク海の海氷移動・分布の数値シミュレーションの具体例をあげ、計算時間、精度、今後の課題などについて述べる。
4.1.1 シミュレーション条件
氷況変動のシミュレーションを行った領域は、図4.1に示すオホーツク海全海域である。今回のシミュレーションで用いた海氷データは、DMSP衛星のSSM/Iセンサーから得られた海面情報をNASAアルゴリズムから求めた25km四方の空間分解度を持つ海氷密接度データである。また、流氷移動解析の際の外力となる海上風データとしてECMWFの全球風データを用いた。氷況シミュレーションは一週間を基本単位とし、その間の氷の成長、融解はないと仮定した。シミュレーションを行う計算格子の大きさは海氷データと同じく25km四方であり、海水流れの解析では全海域を水深100mとし、それを5層に分ける多層モデルを用いた。海氷の氷厚 及び氷盤の大きさ は海氷密接度 から次の推定式を用いて求めた。