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1.4 研究開発の成果の概要

 

この研究開発の成果は第2章から第5章に詳しく述べるが、要約すると次のとおりである。

(第2章)

NASA TeamとBootstrapアルゴリズムをオホーツク海の海氷へ適用した結果、Bootstrapアルゴリズムは密接度の大きい海域では大きく、NASA Teamアルゴリズムは密接度の小さい海域でより大きい値を示すことが明らかになった。衛星画像との比較の結果、全体としてBootstrapアルゴリズムがオホーツク海に適すことが示された。これにフィルタ等の改良を行って、オホーツク海にふさわしいアルゴリズムを構築した。

(第3章)

海氷観測に有用な衛星を調査し、その特徴と特性をとりまとめた。1998年2月8日の事例について、NOAA/AVHRR、RADARSAT/ScanSAR、SPOT2、JERS1等の各衛星によるレーダ画像および可視画像を比較した。この結果、解像度の高いSPOT2とJERS1によって、海氷の微細な構造が良く分かることが明らかになった。これらの複数の衛星データを比較解析することにより、海氷の詳細な状態を判別することができる可能性が示された。

(第4章)

SSM/IセンサーからNASA Teamアルゴリズムによって得られた海氷データ、ECMWFの全球風データおよび海氷の力学的モデルを用いて、オホーツク海の海氷移動・分布の数値シミュレーションを行った結果、1週間先までの氷状態の予測は約40分の計算で得られることが分かった。力学―熱力学モデルを用いた数値海氷予想モデルを用いてサハリン全域周辺の海氷予測を試行した結果、海氷密接度の予想は傾向的には実測と一致していた。

(第5章)

北欧、ロシア、カナダ、アメリカ等の代表的な海氷機関の現状を調査した。各機関はそれぞれ特有な海氷環境とユーザーに応じた氷情報システムを確立している。海氷の監視手法は、航空機観測に変わって衛星搭載のマイクロ波センサーに変わりつつある。今後の衛星計画によるとこの傾向はさらに強まると予測される。現状の衛星センサーの短所を補うため、海氷監視のための衛星システムを検討した。

(第6章)

本研究結果を総合的にとりまとめた。

 

 

 

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