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交通具の革新

最初に挙げたいのは、公共交通システムの交通具ということで、鉄軌道系あるいは道路系での話です。私が注目したいのは、パリの自動運転の地下鉄です。メテオールというのですが、私ども東京でも、新しい環状新交通をつくりたいという話がございまして、完全に自動化した形で考えたらどうかというご提案をしておりますけれども、こんな先駆けがもう出ているということです。それから最近注目されておりますのが、ライトレール(LRT)(注1)です。路面電車という人がいますが、私はその機能の革新性から見て新しい交通手段として考えたほうがいいと思います。日本ではまだ、軌道法の規定で、速度も40キロ制限、あるいは全体の列車長も2両までで30メートルということで大変短いんですが、海外ではその倍くらいの速度で、しかも4両、70メートルのようなもので、時間当たり1万5,000人とか、1万6,000人運ぶようなのが出ております。

同じLRTでも、最近フランスで3種類ほどパリ郊外で実験中ということでしたが、ゴムタイヤ式のLRTなんていうのも出てきているということです。それから新交通では、PRT(注2)が再びアメリカその他で実験や計画が進んできています。

道路系では皆様ご承知の低公害型バス的なものがありますし、ノンステップバス、それから幕張に出てきたような連接バスというような大型化、それからシティバスということで、小型のノンステップの低公害バス。これは今度金沢で導入を検討されています。そういったものがたくさん出て来ているということでございます。

交通路の利用形態の変化

交通路という意味では、いろいろな交通路を2つ以上の交通機関が共用するという点でデュアルモード化の動きを紹介したいと思います。例えば、LRTと鉄道ということで、ドイツの2都市では、郊外の鉄道がそのまま路面電車の軌道のところに入ってくる、あるいは路面電車がそのまま郊外へ延びていって、鉄道の線路を走っているというような種類のものですね、これによって、公共交通の魅力を非常に高めることができるということです。同じように、LRTとバスを共用して走らせる。ドイツではエッセンのガイドウェイバスに加えて、新しい事例がでています。路面電車の車線にバスを入れるということは、日本でも珍しくないかもしれませんが、オーバーハウゼンのトラッセは、新たに高架で構造物をつくったわけですけれども、そこにバスとLRTの両方が通れる形でつくったということでございます。これから新しい地下鉄的なものができれば、そこに貨物列車が走り、あるいはトラックが走る、電動トラックですね、そういうような軌道通路を共有するという形が、新しい大きな動きかと思います。特にITS(注3)で、将来的に完全に自動運転になりますと、トラックがドライバーなしで動く、あるいはバスが非接触で連結しながら動くというようなことになりますと、鉄道と道路の区別は何だろうかというような状況になり得ると思います。いずれにしましても、そういうものが既に始まっているということでございます。

 

 

 

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