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トヨタさんのRAV-4もやはり、メタノールを積んで、これを改質して、燃料電池に水素を送るというスタイルのものでございます。

私どもが昨年のモーターショーで発表いたしました、燃料電池車のイメージですが、メタノールを使いまして、それを改質器というところで蒸発、改質、それからCOを取り除くといったようなプロセスを経て、燃料電池に送ります。一方酸素が必要ですので、空気コンプレッサーから燃料電池に送ります。そうしますとここから発電しますので、それをバッテリーに充電したり、もしくはモーターを回すといったようなことに使われる、そういうシステムであります。

これに対しまして、昨年クライスラーが、ガソリンを改質して水素をつくる、その水素で燃料電池を走らそう、そういうコンセプトを発表しました。そうしますと、現在あるガソリンのインフラがそのまま使え、非常に普及が促進されるのではないかということで、米国のエネルギー省(DOE)なんかも注目している技術でございます。

こうした技術の開発は近年、急激に加速されて参りました。アメリカの場合は、PNGVという大変有名なプログラムが、既にフェーズ2の領域に入っておりまして、2011年までに、100マイル/ガロンというプロトタイプの車をつくるとしています。100マイル/ガロンというのは、大体42.5キロメートル/リッターと、1リッターでフルマラソンが走れるというようなものでございます。我が国でも、通産省のACE(アドバンスト・クリーン・エナジー)プログラムというのが、NEDOさん、あるいはJARIさんの主宰で推進されております。

各メーカの動向

一方、各メーカーの動向はというとベンツと、電池メーカーのバラードが組みまして、2004年には4万台出すということを昨年発表しまして、今度はフォードもこのチームに参入しました。また、ベンツとクライスラーが、ダイムラークライスラーという形で合併し、2004年に4万台、次の年には7万台、更に次の年には10万台出すという、非常にホットな計画をぶち上げました。これに対して我が国の各社も追随するように、トヨタさん、ホンダさん、あるいは私どもも2004年、あるいは2003年から2005年ぐらいの間には、商品化することを計画しています。2〜3年前までは、この技術は2010年以降の技術だろうと言っておりましたのが、もはやつい2003年とか、2004年に実現する可能性が出てきたということでございます。

このように燃料電池の技術も、相当急速に進んでまいりましたが、これがいつ実現するのか、本当に実現性はあるのかといったようなことについての最終的な結論はまだ出ておりません。あわせて、どんな燃料か本当に使われるんだろうか、水素なのか、メタノールなのか、はたまたガソリンなのかといったようなことについても、まだ結論めいたことは申し上げられないのが現状でございます。ただ、この燃料電池のポテンシャルとしましては、先ほど挙げました大気並みの排気、3倍もの燃費を実現するための1つの大きな候補として今、期待されているということでございます。

 

 

 

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