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先進的な取組事例発表『低公害車の将来動向』

 

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日産自動車株式会社 総合研究所研究推進部 主任研究員

佐々木正史

 

北海道大学大学院工学専攻科博士課程終了後、日産自動車株式会社に入社。同社入社後、総合研究所配属、新動力研究部、動力機構研究所、環境・エネルギー技術研究所等を経て現在に至る。専門分野としては、小型ガスタービンエンジン開発、燃料器開発、セラミック材料の構造部材への適用、高速回転軸系開発、燃料電池システム開発等である

 

本日は、「低公害車の将来動向」という演題をいただきまして、まず地球環境保護に向けた主に乗用車に関する私どもの取り組みと、将来パワートレーン、特に環境に関係する動力系が将来どうなっていくのか。また3番目に、燃料電池の開発動向について、お話し差し上げたいと思います。

環境と走りの3-2-1

私どもの地球環境保護への取り組みと、自動車の地球環境保護への取り組みというのは非常に幅広うございまして、自動車そのものの環境保護という問題ばかりでなくて、製造上でのいろいろな問題点と、それを使い終わって、車を捨てるときの対応といったようなこと、幅広く対応しておりますけれども、本日は主に、車そのものにかかわるもの、特に地球温暖化に伴う問題についてお話しさせていただきたいと思います。

日産自動車の環境理念として「人と車と自然の共生」と銘打って、大きな枠組みをつくりまして、さらに技術開発のコンセプトとして、「環境と走りの3-2-1」というキャッチフレーズを揚げております。この意味合いは、燃費が3倍、走る楽しさ2倍、1というのは大気並みの排気を達成しようという技術開発の将来目標をみずから世の中に公表して、責任を持って進めていきたいという決意の表明でございます。

現有技術の改良

具体的にどういうような方策で、先ほどの3-2-1を達成していくのか。特に環境に伴う燃費を3倍にするということと、排気をいかに少なくしていくか、大気並みまで持っていくかというような軸の中で考えていきますと、まず、現有のガソリンエンジン、ディーゼルエンジンの改良等によって、燃費あるいは排気をよくしていくという方向性があります。それから電気自動車というのもございます。これは主には、排気を非常によくする方策でございますけど、こういう技術と現有の技術の組み合わせで、ハイブリッドの技術として、今のところ技術的には、燃費倍率2倍以上、あるいは排気については、現有の、日本の排気規制の10分の1以下のレベルのところまでは、技術的にはもう見えているというようなところに来ております。

エンジンの改良と並んでトランス・ミッションの改良もあります。今新しく開発しておりますのは、トロイダルCVTといいまして、いわゆるオートマチック・トランスミッションなんですけれども、ベルトを使わずに、ローラーのようなものでぎゅっと押しつけて変速するようなタイプですので、非常に大きな容量まで吸収することができ、大型のエンジンでも使うことができます。

 

 

 

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