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報告「地球温暖化に関する最新の国際動向」

 

運輸省運輸政策局環境・海洋課長

福本秀爾

 

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早いもので1年が経過しましたが、昨年の12月、京都でCOP3が開かれ、そこで京都議定書が採択され、我が国は温室効果ガスの排出を6%削減するということが、議定書上義務づけられました。我が国といたしましては、現在その京都議定書について、署名まではいたしておりますが、まだ批准という作業はこれからとなります。世界各国の中では、この京都議定書を批准までしている国が現在3カ国ございます。1つがフィジー、2つ目がアンティグアバーブーダ、3つ目がツバルと、あまりなじみがない国が多いですが、基本的には島嶼国、すなわち小さい島国というようなところです。ある意味では、温暖化の影響が一番大きいところであります。

この京都議定書の発効要件は、批准する国が55カ国、かつ温室効果ガス削減義務を負う国のうち、批推した国の温室効果ガス排出量がそれらの国の合計の55%というものが発効要件になっています。従ってこの発効要件を満たすまでには現在至っておりません。

この11月に、アルゼンチンのブエノスアイレス、ちょうど我が国の、地球の全く反対側で、COP3に続くCOP4が開かれました。先ほど申し上げたように我が国は、6%の排出削減、アメリカが7%の削減、EUが8%の削減、というような義務づけが京都議定書にあるわけでございますが、特に我が国の場合には、この6%の削減というのは大変厳しいハードルとなっております。

運輸部門では、先ほど大臣のご発言にもございましたが、2010年までに1990年比で17%増に抑え込むことを目標としております。1990年レベルに削減することはほとんど不可能に近い、特に運輸部門ではそういう状況であります。そういうことで、運輸部門におけるCO2については17%増に抑え込み、我が国全体のCO2排出の基準では、プラス・マイナス・ゼロ、安定化、することが出発点になっております。すなわち、産業部門でもって減らしていただき、民生部門でも、若干ふえ方を抑え込んでいただくということです。この京都議定書上は、メタンガス一酸化二窒素、その他代替フロン等6ガスが対象となっており、その対象範囲が広がったということで、我が国の排出削減対策は大変厳しいものとなっております。

一方、森林による吸収ということも制度として認められております。そういうことで、我が国の森林の再生等を通じて、可能な限り森林の吸収で、ある意味では点数を稼ぎたいところではございますが、はっきり申し上げて、これだけではなかなか6%削減は達成できません。すなわち、何を必要とされているかと申しますと、京都議定書の中でも既にその設置が認められております排出権取引でございます。あるいは共同実施、あるいはクリーン開発メカニズムの活用でございます。これは、諸外国、とりわけロシア等の先進国、あるいは中国、インド等の発展途上国共同でCO2を中心とした温室効果ガスの排出削減を実施し、その削減分をわが国の削減量としてカウントするものであり、これを日本でも活用ということが、不可避的な状況になっております。

 

 

 

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