日本財団 図書館


ドライバーというのは、もともとわがままな人種ですから、とにかく自分が絶対うまい、自分は絶対速いんだと思っているんですね。途中まで行って優勝できないとなると、ことしはもうあきらめ、めちゃくちゃ走って車を壊しちゃう人もいるんです。ドライバーを決めるときに、どういうタイプのドライバーかをちゃんと選んで決めないと、チームがめちゃくちゃになってしまうことになるんです。ですからドライバーも非常に大切なんですね。

3番目に、幾ら車が速くて、ドライバーがよくても、とんでもないところを走るとやっぱりいいタイムが出ません。このラリーは、みんながみんな全く同じコースを通るかというとそうではなくて、ある程度ナビゲーターが、こっちはちょっと遠回りだけど、もしかしたらこっちのほうが路面がいいと判断した場合は、そっちを走らせることもあるんです。ですから、ナビゲーターが正しい最短距離で、一番速いコースをドライバーに指示してくれるかどうか、これも大切なんです。ですから3番目にはナビゲーターです。

3]チーム力と資金力

4番目には、チームの力です。1月10日にサハラ砂漠の何とかという村から、100キロ内陸に入ったところに、ガソリンを2,000リッタードラム缶に入れて、置いておいてくれというようなことを事前に手配するわけです。これは非常に難しいことです。でもガソリンが届いてないと、走れなくなってしまいますから、非常に大切なんです。それから先ほどお話ししたヒューズも、このヒューズは何日走って交換すればいいのかというようなことがわかってないと、幾つそれを持っていっていいのかわからないわけですから、そういうことをチームがちゃんとわかっているかどうかということなんですね。4番目は、チームの体制とメカニックのノウハウが整っているかどうかです。

最後の5つ目は、やっぱりお金がないとだめなんですね。いい車をつくる、いいドライバーを雇う、部品をたくさんというのはやっぱりお金がかかりますから、お金がないといけない。この5つの要素がちゃんと揃って、さあ勝負ということになるわけです。これが整わないと、勝負にならないわけですね。やっぱりこの5つちゃんとそろえるというのは、非常に難しいことなんです。モータースポーツというのは、自分の努力だけではどうしようもない部分もたくさんあって、ストレスが非常にたまるスポーツかなというふうに思ってますけれども、それだけにうまくいったときは、喜びはすごく大きいですね。

ラリー出場で得た教訓

このようにスケールの大きいラリーなんですが、このラリーに出て、幾つか勉強になったことがあります。

(1) 目的意識をはっきりさせる

その1は、目的意識をはっきりさせるということです。我々のチームは約50名で行くんです。フランス人もいるし、イギリス人、ドイツ人、日本人、あとニュージーランドとかオーストラリアとか、いろいろな国の人たちが我々のチームの中にいます。ですから言葉が通じないこともあるんです。それで、いつも競技の前に、我々のチームは優勝をねらうんたぞということを、必ずミーティングで徹底して言うんです。これには意味がありまして、例えば、ぱーっと車が走ってきて、とまって、ギアボックスをおろして、新しいギアボックスをつけてまた走り出すまでが約45分なんです。車がぱっと走ってきてとまったときは、そのギアボックスのオイルの温度は、140度ぐらいまで上がるんですね。オイルを抜かなくちゃいけない、ねじを緩めなくちゃいけない、やっぱり熱いですよね。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION