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肉体も精神も図太く

メカニックは一晩じゅう車を整備してます。我々が翌朝スタートするまでの間、一晩じゅうエンジンかけたり、走り回ったりしているわけです。我々の車は消音装置がついてませんから、相当うるさいんですね。ですから、テントで寝ているすぐ横を、暴走族が走り回っているというような感じなんです。そういう中で寝ないと、次の日もたないということになりますんで、相当図太くないといけない。

また、食事もすべて主催者が提供してくれるものを食べるしかない。朝はフランススタイルですから、パンだけですね。昼は食べません。非常食は一応持ってます。この非常食というのは途中で道を間違えたり、車が壊れたりして動けなくなって助けてもらうまでの間、食いつなぐ分です。夕方ゴールして、やっと夕食。1日1食だけまともな食事ができるということです。とにかく生活面が非常に日本にいるときと違う、思いどおりにならないというのが、3つ目の難しさかなと思っています。

それから4つ目としては、外国で戦うわけです。参加している選手も、9割以上外国人の選手です。そういう中で、2週間、20日間と、ずっと一緒にいなくてはいけないんで、やっぱり言葉がしゃべれないストレスがどうしてもたまってくるんですね。ですからやっぱりある程度、外国人と何でもしゃべれるようにならないといけないというようなことがあって、それやこれやですべてをクリアするにはなかなか難しいラリーかなというわけで、世界一過酷なんだろうと思ってます。

勝っための条件

次にこういう過酷なラリーで勝っための条件についてお話ししましょう。

1]ヒューズを作る

まず第1には車を使う競技ですから、やっぱり車が速く走れなくてはいけない。ただ速いだけではだめで、壊れないようになってなくてはいけない。また、もし壊れても、直しやすいということも大切なんです。どこが壊れたのかというのがぱっとわかるかどうかが大切なんですね。エンジンパワーが、クラッチ、ギアボックス、プロペラシャフト、デフ、ドライブシャフト、タイヤに、順番に伝わっていくのですが、大もとのエンジンのパワーアップをすると、その力を伝えなくちゃいけないところも、やっぱり強くしていかないと壊れますね。でも全部強くすると、今度は車が重くなってしまうんでスピードが出ない、またパワーアップする、また強化するというこの繰り返しになってしまうんです。

ですから車をつくるときに、いつもどこかにヒューズをつくります。このヒューズは、ドライバーとナビゲーターが交換できるようなものにしておくんです。どこかが壊れ、車が動かなくなった場合、すぐドライバーとナビゲーターは車からおりて、そこを見て、壊れてたら、そこを交換する。ですから必ずヒューズをつくるというような車のつくり方をします。これも非常に大切だなと思います。ですから1番目には車なんですね。

2]メンバーの力倆

2番目にはドライバーです。やっぱりドライバーが速く走れないといけない。ただ速いだけではだめなんですね、自動車を壊さないように速く走る。また長いこと、50名ぐらいのチームで行くわけです。その中であまり浮き上がってもいけないわけですから、チームの輪も保てなくちゃいけないということになります。

 

 

 

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