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Paul SIMONS氏(英国)

論議の要点を整理していただき、ありがとうございます。私達外国からの参加者同士でも、歴史と文化を再認識し、将来の発展に利用することが必要と話し合いました。

私自身も、昨日誕生日を迎え、高齢化社会については正に生きる見本と言えると思います。高齢化社会について注目すべき点はその問題点及び潜在性と言えます。別府は観光関連の職業に従事している人の割合が高いと思いますが、観光によって生計を維持するためには、宿泊日数を増やすことが重要です。行政が市街地における都市化をコントロールし、自治体及び国が資源をどう引き出し、どう運営するかが「ウェルネス」を導くポイントとなります。「ウェルネス」は温泉関係者にとって極めて重要であり、この言葉こそが別府の将来を担うキーワードです。また、別府の再活性化にレジャー産業をどう取り込むかも重要な留意点です。

私は常に、全ての問題は乗り越えられる、チャレンジであるということを意識しています。温泉が21世紀に向かって、どのような在り方、活動がふさわしいのかを探ることはチャレンジであり、その豊富な温泉資源、存在感の大きさによって、別府がこの問題を克服することは可能と思います。

バースから別府は遠いのですが、姉妹都市として、今後もさまざまな活動に参加し、多くの人々の知恵を活かしながら協力していきたいと思います。バースの実例が、別府の再活性化の参考となれば幸いです。今回、この事業に参加して、3日間で学んだことは、バースのまちづくりの参考となりました。

アクションプログラムについては、12月という開催時期が問題です。12月(クリスマス)は年に一度家族・親戚が集まる時であり、英国から参加するには最悪の時期で、参加は無理でしょう。しかし、今後の将来的な交流事業などについて、別府にバースから人を送ることはもちろん可能です。

 

Norbert JACKMUTH氏(ドイツ)

バーデンバーデンも問題を抱えていますが、今回、皆さんの話しを伺い、各国が直面している問題と比較して、当市の問題は小さい方なので、安心しました。

バーデンバーデンは温泉としては、特異な例と言えます。言わば、ドイツの温泉の集合体と考えてよいと思います。規模はそれほど大きくありませんが、訪問者の宿泊日数が多いことが特徴です。現在のところ、訪問者は60代以上のお年寄りが大半を占めていますが、今後、より若い40〜50代の誘致に努めたいと考えています。また、インセンティブ需要も多く、1997年には5,000人の若い日本人女性(化粧品会社勤務)がバーデンバーデンの主要産業の一つである化粧品工場の見学に訪れました。今年は、3,000人の日本人女性が来訪しています。加えて、8月には福島県から180人のオーケストラ団が来訪し、演奏会を行いました。彼らの滞在期間は1週間でした。また、1994年には熱海から視察団が訪れ、バーデンバーデンのカラカラ浴場を熱海に建設する契約を結びました。

今後の再活性化について検討する際には、他地域のまねをするのではなく、自分達で考え、独創的な方法を見い出すことが必要です。別府の温泉資源が豊富という利点を活かし、長期滞在パッケージを造成すること、1週間の滞在で、別府の楽しみ方を訪問者に教えてあげる、また、訪問者のニーズを確認することが重要です。

 

 

 

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