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別府に限らず日本全体の温泉地のあり方を考えると、温泉の利用方法と同時にどの地域にどのような方向の温泉地づくりをするかという、適正な配置について研究をする必要が出てきたのではないか。どこでも同じような方向で、同じような施設を作れば競合が生まれるし、もっと地域の特性・個性を活かした方が大事だと思う。これを環境庁を初めとして、大いに研究を進めて欲しいと思う。

 

Ross STANWAY氏(ニュージーランド)

世界がいま向かっているところには、無限の資源はあり得ないということだ。ロトルアにおいても、地熱エネルギーは無限にあると簡単にはいえるが、実際の使用に関しては管理されている。地熱エネルギーを使う場合には許可、ライセンスが必要で、その許可は非常に厳しいプロセスを経て得られるし、量に関しての制限もある。これまでは、地熱水が急にどこかで湧き出たら使えたが、来年度からは地熱硬水に関しては、必ずもう一度還元することが義務づけられた。また水源を個人で所有することはできない。

 

Kyung-Do CHO氏(韓国)

私は、日本で水位が下がった場所や各国の温泉源について調べたことがある。日本の場合、火山地帯で枯渇すると地震が起きたときに、水がなく大災害が起きる可能性がある。フランスは1857年に温泉法を制定したが、それにより、温泉が発見された付近での工事は温泉に影響があると考えられる場合には、その温泉を所持している人に対して、工事を中止させることができると定められた。6カ月間、工事を中止させ、状態を見て特に問題がなければ工事を継続することができるとされた。そのくらい温泉に対しては厳しく規制している。今でも温泉熱を利用した色々な発電所を作るために温泉を枯渇させたところがあるので、そうした危険性から温泉協会を通じて、日本の温泉地もそれに非常に反対している。だから温泉源の保護という点では、日本でもある程度は保護していると思う。フランスでは後で工事の許可を取り消すことによって、温泉の保護を図っている。

 

Winston SHEN氏(台湾)

これは私どもで温泉のリサーチの結果をまとめたものだが、ニュージーランドと同じで、水源はすべて政府が所有しており、民間が所有している水源はない。私どもと同様に別府市にはたくさんのホテルがあるが、ホテルのオーナーが政府に対して許可を申請する必要がある。通常、温泉源に関しては、1時間で1200トンというように資源の消費量が制限されている。それ以上過剰に消費すると問題があるが、それ以内におさえれば問題はない。温泉資源の不足が起こりうるので、開発に関して、より厳しい規制が設けられている。我々の所でもこの10年間で、開発がますます進んでいるので、より厳しい規制になっている。

 

山村教授(コーディネーター)

温泉資源を守ることは一番大事なことで、大量に使えば徐々に減っていく。もちろん規制はあるが、個人で大量に掘るので、規制しても減っていく。いよいよ行き詰まって初めて集中管理や一本化することとなる。このような集中管理は、様々な所で行っているが、その際に注意すべきことは、絶対に泉質を混ぜてはいけいないということだ。泉質が同じなら効率的に使い、再活性化したという話は日本のあちこちで聞く。

 

 

 

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