Kjell MITCHELL氏(米国)
アメリカにおける温泉の概念は、天然の温泉という概念から離れてきていると思う。例えばイエローストーンにはいろんなスパのコンセプトがあるのだが、単に温水を使うだけで、数多くのホテルが建設されている。そこでは温水を利用して人々の健康のためにトリートメントを提供するサービスを行っている。必ずしも天然遺産を1つの文化的遺産として保存していることにはならないかもしれない。イエローストーンでの火災は数多く議論を呼んだ。アメリカでは数多くの場所で環境を保存しようとしているし、実際に保護され、保存されているところもたくさんある。アメリカの文化遺産として、環境を常に意識して保存することは、文化の大切な部分だと思っている。
山村教授(コーディネーター)
ヨーロッパと同様に環太平洋の温泉地の方々も、予防医学的な方向、エステ、リラックスや楽しみのために温泉を利用する。この2つをいかにバランスを取っていくか。これが大事だということだった。
ここでフロアの方から質問を受け付けます。
市民
温泉の資源という観点から見て、別府で一部、赤信号が出ている地域があるようだが、各国においては、温泉に対する資源保護をどのようにしているのか。特に別府では、温泉は共有物でなく個人の所有となっているので、資源の保護を各国ではどのようにしているのか、対策的に、これはしてはいけない、というようなことがあったら聞きたい。例えば道路を作るとしたら、浸水性を考えなければならないとか、川については水が下に通るような三面ばりの川の護岸工事をしてはいけないとか、このような規制があるのかを聞きたい。それと山村先生にも、浜脇の温泉が枯渇しているという状況について聞きたい。
Kjell MITCHELL氏(米国)
別府市の温泉源は、本当に豊かで、このように豊かな温泉源を持っている所は見たことがない。例えば地球上に穴を開けたら、もっと温泉は出てくるだろうが、穴を掘りすぎてしまったら、温泉がなくなるのではないかと心配しているのだ。日本の場合は非常に豊かなので、枯渇の心配はないと思う。そこはアメリカとは大きく違う。
山村教授(コーディネーター)
確かに日本では、資源が豊富だから温泉の枯渇はあまり問題になったことはない。しかし一方で、今まで温泉が出なかった所を1000メートル以上も掘って、温泉施設を作るという所もある。それをやると様々な問題が出てくるが、利用する側にとっては、今まで出なかった所に温泉が出たので簡単に利用でき、良いことになる。しかし、永続的にずっと継承されて温泉が出ればいいが、あまり深く掘ると、それが色々と影響を与えて持続しないと科学的な面でいわれている。