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例えば花の時期だってそれぞれ違うのだから、ここに行けばこの花が見られるというような簡単なことでも、各旅館でお客さんを迎えた時に部屋で言えないものか。これは単なる従業員教育ということだけでなく、別府そのものを十分知らないとできない。そのための市民講座があってもいいと思う。もっと別府の歴史、現状、自然などをお互いに学んだり、話し合える場ができれば、今の意見が生きてくると思う。

それでチョウさん、1つ質問だが、釜谷温泉は1973年にできてまだ新しいが、かつての農村部が急速に一気に400万人も集めるような大温泉地に変わった。その時、どのような問題があったのか。あるいは別に問題はなく、スムーズにきたのか。この点について地域づくりという視点で答えて頂きたい。

 

Kyung-Do CHO氏(韓国)

初めは住民とのトラブルもあった。「お金をもってくる人は、外から来て家を建ててお金を儲けるだけで、地域の住民には何もしない」と言われていたが、今はそれは決着して、できるだけ従業員は地元の人を雇ったりした。このように初めはトラブルがあったが、今は問題はない。

 

山村教授(コーディネーター)

13年前に調査で行ったとき、近所の農民の方は部屋が空いていたら、どんどん従業員に貸すと言っていた。そういう部屋貸しの収入によって、相当経済が向上したようだ。このようなことが周辺の農村部でかなり行われていたことがあった。

 

Kyung-Do CHO氏(韓国)

今は住民の方から積極的に協力している。

 

山村教授(コーディネーター)

シェンさん、この問題についてはどうか。

 

Winston SHEN氏(台湾)

地元社会に対する影響は、非常に興味深いものである。10年前に遡るが、私どもプロジェクトの当初、90%の人は先住民だった。彼らは、ホテルやリゾートとはどういうものか全然検討がつかなかった。だからホテルの運営、レストランを経営するなどの観光客用の施設を運営することができなかった。それで、さまざまな訓練の機会を地元の方々に提供して、リゾートで成功出来ることを教えた。また関連するビジネスも生まれ、それが地元の繁栄につながることも教えた。開場以来7年目になる我々の究極の理想は、地域住民自らが運営できるようなリゾートにすることだ。単なるディベロッパーでなく、地元の人々に参加してもらい、新しい事を学んで頂くことが大事なプロセスだと思う。だから私どものマネージャーは地元の人にお願いしている。このような仕事は地元の方こそ相応しいと思うから、外部の人には頼みたくない。今では非常にいいコミュニケーションが地元と生まれている。スライドでもあったように、ダンスのショーにしても地元の学校と契約し、毎晩1日あたり40分間ショーに出演して頂いている。これもすべてスポンサーが付いている。これも非常に重要な活動だと思う。今は地元との協力・地域づくりには、問題がないと思う。

 

 

 

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