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この病院が中心になり、地熱硬水を使ってリューマチなどの疾病治療のため、様々なセラピーを行っている。しかし地熱エネルギーは、現在はセラピーよりも暖房に使っている。他にも天然の泥やハープなどがヘルス・美容市場の有効な資源として使われている。別府市ともいくつかの共通点があると思うが、1つは天然地熱水が豊富だということ。ロトルアは何といってもニュージーランドで一番人気のある観光地だ。インフラが整備されているうえ、いろいろな観光地へのゲートウェイとして訪れることができ、レクレーション施設が非常に整備されている。現在はまだマーケティング面で、十分に調整されているとは言えないが、地理的には素晴らしい。インフラも完備され、国際的な評価も高く、医療や健康志向の高級マーケットのニーズを満たすことができる。また療養も、より自然な形で行うべきだという世界的なトレンドとも合致している。ジョイントベンチャーをできるだけ推進し、既存の設備を最大限に活かそうという動きがある。

ロトルアのスパ産業は、単独の産業でなく、様々な形で観光客にアトラクションを提供し、地域全体としてのビジネス環境を整備しているのだ。温泉はその一部だ。1つのビジネスを進歩させようと思うのなら、個々と産業がお互いに支援し合える、拡張し合えるというメリットをもたらす必要があり、近隣都市のアトラクションも十二分に活用することにより広範囲のビジネスコミュニティに恩恵をもたらすことができる。これからも益々別府とのつながりを深めていきたいと思う。

 

山村教授(コーディネーター)

人口5万7000人のロトルアに120万人も来るとはすごい。この120万人は、延べの数字か、あるいは何日か滞在するともっと増えるのか。

 

Ross STANWAY氏(ニュージーランド)

延べ人数だ。

 

山村教授(コーディネーター)

すると最低何泊かするから、実質のビジターは何人ぐらいになるのか。

 

Ross STANWAY氏(ニュージーランド)

1人当たりの滞在期間は約2泊以下だ。

 

山村教授(コーディネーター)

日本も旅行期間が1泊から2泊に近づきつつあるが、かなり短期滞在型の旅行に変わっているということだろう。

マオリの文化を大事にしていこうという話があった。私も実際に行ってみて、マオリの村を見た。特に問題になっているのは、およそ10年ほど前、地熱、特に間欠泉の吹き上げる高さが低くなっていて、資源保護が問題となり、温泉利用の規制が行われたことがあった。これは現在どうなっているか。

 

Ross STANWAY氏(ニュージーランド)

1980年代初旬までは、かなり活動が弱まっていることがあった。特にロトルアで主たる地熱資源で一番観光客に人気のあった資源が非常に弱くなったことがあり、この段階で、政府はこの地域の半径1.5キロの地域のすべての民間の地熱資源を閉鎖すべきだとした。しかし98年に再び地熱活動が活性化し始めた。以前は起きなかったような場所で地表の地熱活動が発生したりして、これが随分懸念を呼んだこともあった。

 

 

 

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