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まずドイツの医療、メディカルケアは、民間の保険会社によって提供されている。そして温泉と民間の医療機関と協力しているわけだ。だからドイツ国内からアバノに来る方々は宿泊費は自己負担だが、少なくてもトリートメントに関しての費用は保険で賄えるという状況になっている。すでにそのような協定が保険会社とできているのだ。加入者がトリートメントを受けると、その費用は保険会社から支払われるわけなのだが、この方が非常にコストを節約できると保険会社も合意している。つまり温熱トリートメントをドイツ人がイタリアで行う方が実際に病院で支払う医療費・入院費より安く、保険会社にとってコストがかからないということだ。

また、イタリアにおいては民間の保険会社の制度が整備されている。温熱トリートメントについては、国立のヘルスサービスが、補完的なものでなく正式な医療として続けようとしている。各家庭にいる主治医が、治療に関して医薬品を処方するように、温熱トリートメントを処方することができる。つまり医者が患者を温泉に送り込むことができるのだ。まだ確立されていないと聞いているが、日本でもすぐには実行できなくても、少しずつこのシステムを導入したらどうか。大事なことは、温熱トリートメントが国の提供する保険制度の中に組みいられるべき非常にメリットのあるものだと説得することだと思う。

 

山村教授(コーディネーター)

ヤックムートさん、どうぞ。

 

Norbert JACKMUTH氏(ドイツ)

わたしも同感だ。通常の治療方法では3週間入院し、別の機会に外来患者として個人負担で治療を受けねばならない。その場合は治療にかかる医療費の80%はあとから戻るが、入院したら1泊あたり15マルクを自分で支払うことになる。しかし健康保険によって患者が温泉療法を無料で受けることができるとしたら、時間もコストも削減できる。

 

山村教授(コーディネーター)

もう一つの質問のカジノ、競馬の収益がどの程度、温泉の財政の中に組み込まれているのかについてはどうか。

 

Norbert JACKMUTH氏(ドイツ)

カジノは極めて重要で、またバーデンバーデンの特徴となっている有名なカジノがある。競馬は、1年に2回、5月と8〜9月の時期にある。毎回10日間行われるこのレースには、世界中から観光客が集まる。カジノは実際には収益源となっており、競馬も同じだ。

 

山村教授(コーディネーター)

具体的な年間収益、またその温泉補填率はどうか。

 

Norbert JACKMUTH氏(ドイツ)

具体的な数字はわからない。

 

 

 

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