良い製品、良い温泉、非常に健全で医学的であること、そしてファッション性が大事だ。ファッション性とはイベントであり、お祭であり、フェスティバルだ。場合によっては、有名人に来てもらうのもやり方のひとつではないかと思う。
温泉とスポーツという組み合わせもある。我々はイタリアのナショナルサッカーチームに来てもらっている。日本に置き換えるならば、相撲の力士に来てもらうなど、ファッショナブルにできないか。
山村教授(コーディネーター)
新しいニーズに合わせて開発していかねばならないということだと思う。イスラエルのリストマンさん、別府の印象はどうですか。
Ram LISTMAN氏(イスラエル)
別府とイスラエルの大きな違いは2つある。別府市は大変有名だ。日本に滞在している間、別府は最高の温泉地だとあちこちで聞いた。だから誇りに思っていいと思う。これがイスラエルと別府との違いで、別府市の温泉の歴史の方がイスラエルより非常に長いのだ。イスラエルの温泉の歴史など5〜10年で短い。だから温泉を活用することは、我々にとって新しいコンセプトであるという点が違う。
それから、このようなミーティングの意義は、この温泉にどのような新しい手法・方法で観光客に来てもらうかを考えることだと思う。サイモンズさんがいったように、例えばイスラエル風のものだとか、いろんな形の様々な種類の多様なトリートメントを提供し、国際色を豊かにするのも手だと思う。2カ月前、私は御殿場に行き温泉に入った。その温泉は、あまり多くの人が訪れないので、いかに活性化するかとオーナーは考えたそうだ。
そこで温泉のオーナーは死海の塩やミネラル、鉱物を御殿場に持ってくることを思いついて実行した。そんなにコストはかからなかったそうだ。私は御殿場で富士山を見ながら、死海のプールでプカプカ浮くという不思議な体験をした。まるでイスラエルにいるようだった。これも1つのアイディアだと思う。アメリカ、韓国、台湾などのいろんな国の方が今日集まっているので、温泉をよりインターナショナルにするために考えられる絶好の機会だ。それによって国際的なこと、いろいろな文化に興味のある人を引きつけられるのではないか。
山村教授(コーディネーター)
貴重な意見を頂いた。別府市はすぐにこれについて考えて、対応していかなければいけないと思う。ぜひ、若い方々がこれを実現できるような組織を作られて、別府市を再生するためにがんばって頂きたいと思う。
日本の観光の発達史を見ると、温泉なくして観光の発達はなかった。必ず幾つかの観光地を廻って温泉地に宿泊していた。その温泉地が温泉を忘れて、施設整備にばかり走ったのが高度経済成長時代やバブルの時期だった。一時的な経済の動きだけに振り回されるのでなく、温泉文化を踏まえて、歴史に学び、よりいいものをじっくり探し出して守り、観光客にそれを提供していく。観光客はそれを求めて温泉に来るわけだから。そのような地域づくりが大事だと思う。何しろ温泉地であって、温泉なくして温泉地はありえないのだから。出雲王国風土記にある温泉では、若い人も老人も男も女も集って温泉を楽しんでおり、ひとたびつかれば綺麗になり、2回つかればあらゆる病を治すと記述されている。ドイツのフランクフルトの近くにナウハイムという大源泉があるが、そこの源泉の前にも「この神から授かった温泉を人々がコトと体を癒すために使っている」と書いてある。