山村教授(コーディネーター)
別府には、鉄輪地区に貸間制度があり、そこでは1週間〜10日、長期滞在の方が来て、本当にリラックスして喜んでいる。これももっと研究して、別府全体でこのような長期滞在の方法を考えることが必要だと思う。
Norbert JACKMUTH氏(ドイツ)
私もサイモンズさんと同感だ。成功するためには、自らの設備に何があるのかを再発見することだ。バーデンバーデンと別府を比べると、どちらにも温泉がある。
平均の宿泊日数、延べ日数が2.3日では短すぎる。これはバーデンバーデンと別府の共通項だ。今、直面している問題は、海外の方が安いから、国民が海外に行ってしまうことだ。ドイツ人がバーデンバーデンに滞在すると高くつく。我々も別府と同様、顧客の平均年齢は70歳代なので、何かもう一つ、40〜50代向きのパッケージを作る必要がある。色々と異なった魅力、違う温泉があることは素晴らしいのだから、それを利用した新しいパッケージを作る。1週間滞在し、毎日違うお湯につかるというのはどうだろう。将来の方向として、周りの観光をも取り入れて、より若い方に来てもらうようにするというのはどうだろうか。
山村教授(コーディネーター)
まさしく別府八湯ということで、それぞれの八湯がそれぞれの地域の個性を出してやっていこうということが前提になる。と同時に八湯をお互いに連携しながら巡る。全体として別府温泉そのものが大きく発展していくというご示唆だと思う。
次にアバノ・モンテダロットのサビオンさん
Massimo SABBION氏(イタリア)
私も別府の印象は同様だ。アバノも含めた世界すべてのスター・センターは、この10〜20年を見てみると、今では地元から離れている。非常に危機的な状況になっている。ヨーロッパのスパ・温泉は、だいたい滞在期間が減っている。昨日の打合せ会議でも合意したが、我々がやらなければならないことは、テルメに対して、テルメとはローマ語で温泉という意味だが、新しい特徴を作ることだ。
かつて50年代・70年代における温泉とは、ファッションだった。流行であり、文化・伝統に根づいたものだった。しかしこの20年間を考えると、もはや流行らない流行遅れになってしまった。これは医療・治療の観点からもいえることで、トレンディではなくなってしまった。病院設備も増えたし、科学療法や医者の世界にも我々のやり方に反対する者がいる。しかし今、ここにいたって再びそれを乗り越えようとしているのだ。少なくともアバノではそうだし、ヨーロッパ各地でも同様だと思う。温泉に対するファッション性、トレンディ性、これこそが流行の最先端だというものを見せる必要があるのだ。このような魅力作りも大事だし、そのセンスがあって初めて活かせるのではないか。その観点から空間的にも最高級のホテルを売り込んでいる。
またお金のある方を引きつけたい。お金持ちが来れば、それに従って幅広い人々が来たくなるものだ。人は、これだけ有名な所だったら来たいと思うものだ。これは巧妙な戦略だと思う。