死海ではスパのコンセプトを自然・エコロジカル・天然としている。カジノは絶対に作らないと思う。我々の死海に来たいという人は、そのような物を求めているのでなく、完全なリラクゼーションを求めているのだ。町はなく、小さい村しかない。騒音もなく、すべてクリーンで自然の懐に囲まれたというような環境だ。よって、この土地の有効な利用方法の開発が、もっとも重要なポイントだと思う。海に行く、あるいは日光浴をする、あるいは砂漠のツアーに行く、あるいはオアシスに行くなど全て自然環境を活かした活動で、大がかりな人工的なイベントというのは、我々は考えていない。
山村教授(コーディネーター)
これからの温泉利用は、温泉そのものを活用する時に、健康指向やエステなどもっと若い人のニーズにも対応できるような従来の日本の湯治場的な形だけでなく、新しい方法をもっと取り入れる必要があるということと、それを行う際に官民一体、地域住民も一体となって盛り上げていく必要があると思う。これはまさに地域振興の問題になってくるだろう。
それから環境については、単なる自然だけでなく、街場の雰囲気、建物の建て方、看板の色のあり方まで、環境保全に基づいた地域環境が形成されつつあるという話だった。
我々は多いに学ぶべき点があって、別府はできるところから対応していけばいいと思う。
それで最後にサイモンズさんから、別府の印象をお願いしたい。
Paul SIMONS氏(英国)
別府経済の何%を観光客に依存しているのか知らないが、大半を占めるのではないだろうか。我々の温泉には世界中から観光客が来る。だからヨーロッパを初め、アジア各国など違う国でもマーケティングをする。しかし別府では85〜90%強が国内の日本人観光客だ。これは我々にとっては驚異的な数字だ。多くの観光客は1泊すらしないわけで、宿泊しても長期ではない。非常に強い市場があるのだから、それをもう少し活かすようなことをした方がいい。もう少し長期滞在のお客を作る、ここまで来て何泊もしてもらう、そういう話を我々海外参加者の間でもした。もう少し幅広く色々なセラピー、治療ができる温泉を利用できる方法を売り込んだらどうか。
まず第1にもっと長期滞在の実現を考え、その次の段階としてもっと幅広く、海外に向けてマーケティングする、海外からの誘致を働きかけていく。別府をどうやってパッケージにしていくのかは、研究・調査が必要だ。我々はまずマーケティングしている。ヨーロッパの温泉をマーケティングするためには、民間や官庁とも協力し、どちらからも財政支援をもらっているので、共同して官民の合弁事業であると考える必要があると思う。もう別府でも新しい動きは始まっているとは思う。このようなミーティングがいい例だ。
率直なことを申し上げるが、西洋人にとってこの街の一部はあまり、綺麗ではないと感じた。もう少し整理できるのではないかと思う。例えばヨーロッパではショッピングエリアや芸術のある地区などには車は入れないのだ。そうすることによって、空気も綺麗になり、環境も落ちつく。このようなことも1つの事例になるのではないかと考えて頂き、別府という商品をどうやって強力な商品に仕立てて、市場に売り込んでいくのか、その参考として欲しい。