山村教授(コーディネーター)
療養のお客が減っているという話で、バーデンバーデンもこれからは温泉を楽しむ人のために利用して頂こうということだった。最近は、滞在期間も2〜3日という方が増えているのか。
Norbert JACKMUTH氏(ドイツ)
平均2.3泊だ。
山村教授(コーディネーター)
特にドイツの温泉地は、療養客がたくさん来て、彼らがかなり長期間滞在する。それは保険医療であまりお金がかからないから、長期滞在が可能と考えていたが、現在はこの傾向が崩れてきているということか。
Norbert JACKMUTH氏(ドイツ)
その通りだ。政府に対して毎月保険料を納めて医療を受けるわけだが、例えば治療の際に、レシートを持ってバーデンバーデンに3週間来る場合、ホテルに滞在しながら、通院したり、クアハウスやカラカラ浴場に入って、治療を受けるのだが、そこで支払いは不要ということになる。
山村教授(コーディネーター)
イタリア・アパノのサビオンさん。特に温泉文化をどのように活かすか。それから地域づくりのために地域住民の方がどのように活動されたかについて伺いたい。
Massimo SABBION氏(イタリア)
極めて重要なことは、サイモンズさん達の意見にもあるが、私たちがアバノで実現しようとしていることは、今後、10年、20年にわたる温泉事業を展開するために官民双方の力を合わせて1つにすることだ。しかし民間事業者が基本的には活動する。というのは私どもに、公共のスパというのはなく、すべて民間による運営で、ホテルのオーナー、スパのオーナーも民間企業なのだ。別府のような大きな市でなく、アバノは人口が約1万1000人の小さな町なのであまり問題はない。
1つ例を上げると3年ほど前、官民共同の努力を始めた。それはアバノの道路を約2キロに渡って工事し、完全に公園にしてしまい、歩行者のみが通れる道路にしたことだった。世界中から集まった人々が実にこの道路を楽しんでいるようだ。別のプログラムでは、市役所に対して、民間業界で一緒に予算を合わせてアバノの中央に位置する土地を購入し、そこに住宅を買収し、温泉と合わせた土地開発をするという大きなプロジェクトを今後5年間に推進しようという計画がある。伝統的なセラピーでは、世界中から人々を引きつけることは出来ないので、プロの手による治療もやっていかねばならないと思う。
私どもの経験は、バースも同じような方向だが、若干違っている。平均的滞在日数は10日で、85%の宿泊者がトリートメントを受ている。宿泊者の40%はドイツから来ており、平均2週間ほど滞在されている。