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このような雰囲気の場所で、完全なリラクゼーションを提供できるし、楽しめる。また病をもっている方のための治療にも役に立てるのが死海だ。

 

山村教授(コーディネーター)

温泉を利用するだけでなく、海水や大気など環境を利用する非常にユニークな温泉療法が行われている。皮膚病に効くという。以前、ドイツに行ったときに、イスラエルツアーのパンフレットを見たが、最近ではどこの国からの観光客が多いのか。

 

Ram LISTMAN氏(イスラエル)

ヨーロッパ各地から、ドイツ、スイス、北欧、イギリスが多い。これらの国々では特別な取り決めがあり、社会保障、医療保障で全額負担してもらえる。皮膚病の治療は高額なので、2〜3週間、死海で静養した方が病院で治療を受けるより安上がりで確実だ。

 

山村教授(コーディネーター)

一応、皆さんから意見を伺って、各地域でこれまで温泉をどのように医療に役立ててきたのかが分かった。しかしこれからは単に医療にのみ役立てるのでなく、美容やリラクゼーション、ストレス解消の場所としてやっていく必要がある。それも地域の環境を守り、十分に活かしながら、地元の人と観光客が一緒に触れ合える場所、心から安らげる場所づくりということに集約されるのではないかと思った。新しい温泉の利用方法について、もう一度、パネラーの方々のご意見をお聞きしたい。

 

Paul SIMONS氏(英国)

温泉事業の将来を考えてみると、観光業の中で特別な魅力を開発することだと思う。多くの人達を魅きつける商品を開発することによって温泉に行ってみたいという気を起こさせる。水があるので、水をメインアトラクションとする。そこへ行けば、水を使って色々な設備を楽しむことが出来る。水とともに泥も必要だろう。そして観光客をできるだけ長期間滞在をさせることによって地元の経済にも多くの恩恵をもたらすことができる。ヨーロッパでは、ヨーロッパの温泉とは何かの位置づけを試みている。そのためには水や温泉の設備だけでなく、様々な宿泊設備も必要だ。例えばイギリスには、B&B(ベッド&ブレックファスト)のように非常に簡単に安く宿泊できる施設も必要だ。非常に質の高い環境を提供することも重要だ。そのためには地元の法令も整備する必要がある。また、温泉だけではダメなので観光やその他のアトラクションも整備する必要がある。温泉とともに、地元の文化、環境すべてを整備する必要がある。

あるいは音楽祭などのイベントを利用することも重要だ。こういったイベントも同時に開催する。それから劇場、公園、庭園などの整備も重要な環境整備だ。ヨーロッパで重要な整備といえば、伝統的なカジノの整備だ。ドイツ、フランス、イタリアにおいても重要だが、イギリスにはない。しかしカジノは経済的な面での主要なインセンティブとなり、地域の経済を活性化させる要因として、観光業の中に入っている。

このように広範囲にわたる商品を開発し、マーケティングを活発にするということが、ヨーロッパにおいて温泉を活性化させ、長期滞在型のツーリズムを推進することができる。国際的なツーリズムとは、誘致しても来た人に長期滞在をして欲しいし、何度も来て欲しいわけだ。そのためには、温泉だけではく様々なバラエティに富んだ商品を提供することが重要だと思う。

 

 

 

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