アバノの歴史は2500年ほど前に遡り、当時ローマ時代、テルメ(温泉)は非常に重要なものだった。特別な浴槽が温泉の池の周囲につくられた。その時代から、人々に今日まで利益を与えてきた。アバノの温泉はもちろん温かいお湯が出るわけなのだが、ナトリウム、カリウム、ヨウ素といった成分を多く含み、温度では84度である。その成分は、土の療養に使うため極めて重要だ。植物性、動物性の微生物が泥の熟成の段階で、養われてくる。アバノの温泉は病気を治療するばかりでなく、予防においても効果を発している。例えば減量したい、体をすっきりしたいといった目的にも有効だ。通常の泥のセラピーは、1年に1回で十分な効果を発揮する。スパの特別な部屋の中で、検査を受けた後、泥を肌に除々につけていく。その時の温度は40度ほどに保たれている。その後、しばらくして泥が取り除かれ、患者は熱いシャワーを浴びて、38度の温泉につかるという手順になっている。発汗後、普通のマッサージが施される。極めて重要な点は、各ホテルにおけるプロが行っているものだ。さまざまなセラピーを含めたマッサージも行っているので、美容的な利用も最近始めた。もう一つ重要なのが病気の治療だ。温泉を圧縮された空気と混ぜて使うのだが、これは極めてユニークだ。
アバノにあるもう一つのユニークな特徴はホテル施設だ。各ホテルは、複合施設となっており、これは世界に類を見ないものだ。各ホテルが、このような治療やトリートメントを扱うのみならず、エルフのディレクターの指揮のもとに行っているのだ。これに加えて、イタリアの温かいホスピタリティや、食べ物の魅力があり、心地よいステータスが味わえる。ホテルは高級な5つ星のホテルから、宿泊しやすい3つ星のホテルまで、様々だ。アバノには合計150のホテルがあり、2万8000人分の宿泊設備が整っている。少なくとも各ホテルには大きなスイミングプールが3ヵ所あり、水中のマッサージを行っているところもある。
毎年アバノでは、日本を含んだ25カ国以上の国々から約60万人以上の訪問者を受け入れている。その点からすると、アバノはもっとも国際的な温泉地である。この60万人の訪問者というのは、別府に比べれば大した数字ではないと思われるかもしれないが、私どもの温泉のセラピーに対するアプローチが別府とはまったく違うということを説明したいと思う。アバノでは、1人の滞在客は9〜10泊し、1泊だけして帰るというのではないのだ。私どもが提供しているパッケージは、完全なトリートメントが含まれ、約1〜2週間の長期滞在型のプログラムが組まれている。アバノのモンテグロット温泉では1年間に約500万泊、滞在されている。将来は、我々のセラピーを新しい形でどのように提供するかが問題である。それは、健康、そして生活全体の質が将来的には人間の目的になると思うからだ。今後はホスピタリティとサーマルセラピー、そしてレジャーの3つをうまく融合させていきたい。そして別府とも、このような交流を図っていきたい。
ここでスライドをご覧ください。
まず、これはアバノの温泉地域にある丘陵地帯だ。
この下の部分はホテルだが、2つの屋外プールも写っている。この建物に中が屋内プールだ。
これが、泥の貯蔵所だ。泥は少なくても3〜4ヵ月、温泉の中につけておき、準備をする。
これは泥を体の各部にあてているところだ。美容面で、泥を肌にこのように塗る。その後は顧客の好みによるが、通常はこのようなマッサージをする。